M・A・D

M・A・D (エム・エイ・ディー)

BUCK-TICKの「M・A・D」は、1991年6月5日にビクター音楽産業のインビテーションレーベルからリリースされた日本のロックバンドのシングルです。この曲は、作詞が櫻井敦司、作曲が今井寿という形で、バンド自らがプロデュースしています。この作品は、前作「スピード」から約半年ぶりのリリースであり、同日にはシングルの内容を含むミュージックビデオもVHSとしてリリースされました。

「M・A・D」は、オリジナル・アルバム『狂った太陽』からの初のリカット作品であり、オリコンチャートでは最高4位を記録し、販売枚数は約84,000枚に達しました。これはBUCK-TICKのシングル売上ランキングでも9位に位置付けられる人気を誇ります。また、2022年には人気ランキングでも17位に入り、その影響力が示されています。

録音の裏側

アルバム『狂った太陽』の制作は1990年の9月から11月にかけて行われましたが、今井寿のギターパートの録音に予定よりも多くの時間を要し、25日間掛かりました。この時、同時進行で「Great Double Booking」と呼ばれるイベントライブのリハーサルも行われており、メンバーたちは時間に追われていました。樋口豊によれば、録音が終わった後に今井が新曲4曲を持ち込んだため、リハーサルと録音を同時にこなすために2つまたは3つのスタジオを占有。このプロセスでかなりの作業が求められたと伝えられています。

リリースの詳細

シングル「M・A・D」は、8センチCDとカセットテープの2フォーマットでリリースされました。カセット版には2曲が収録されており、カップリング曲「ANGELIC CONVERSATION」は、アルバム『TABOO』に収録されている楽曲の新しいバージョンとなっています。この曲ではアコースティック・ギターの12弦仕様に変更し、ボーカルも一新されており、今井のギターサウンドも多様な変化が加えられています。櫻井は、自身の声で新たに表現したいという意図でボーカルを録り直したと述べています。

さらに、「ANGELIC CONVERSATION」のミュージックビデオにはさまざまな映像が世界中から集められて編集されており、貴重な映像資料も含まれています。

アルバムにおける位置付け

シングルのバージョンは、アルバム『狂った太陽』に収録されたバージョンとは異なり、前奏や終盤の歌唱部分がカットされ、ミックスも再度行われています。その結果、ドラムがよりタイトに、ベースがシンセベースに近いバランスへ調整され、テクノ的なサウンド感となっています。このようにBUCK-TICKはシングルバージョンに対して新たなアプローチを試みました。

また、1992年にリリースされたセルフカバーアルバム『殺シノ調べ This is NOT Greatest Hits』には、リアレンジ版が収録されており、メンバー間での創作方針についても興味深い戦略が見受けられます。今井は、完璧に仕上がったシングルを再構築する意図を示しており、ライヴでの再現性を気にせず新しい形として再び表現しました。これは音楽の進化を常に模索し続けるBUCK-TICKの姿勢を如実に示しています。

最後に、2012年にはトリビュート・アルバム『PARADE II 〜RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK〜』において、AA＝が「M・A・D」をカバーしました。BUCK-TICKの楽曲は、時代を超えて多様な表現に乗せられ続け、ファンの皆さんに愛されていることが分かります。

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