狂武蔵

狂武蔵

映画『狂武蔵』（CRAZY SAMURAI MUSASHI）は、2020年8月21日に全国公開された日本の時代劇アクション作品です。監督は下村勇二が務め、主演のTAK∴（坂口拓）が孤高の剣士、宮本武蔵を演じています。本作の最大の特徴は、その製作手法にあり、特に長時間のワンシーンワンカットによる殺陣シーンが注目されました。

製作背景

本作は、上映時間91分のうち、実に約77分間にもわたり、主演の坂口拓が数百人もの相手と一人で戦い続ける壮絶な殺陣を、一切カットを挟まずに撮影するという、他に類を見ない試みがなされています。この驚異的なシークエンスについて、プロデューサーの太田誉志は、撮影開始から30分ほどはやや単調に感じられたものの、疲労困憊の中でも戦い続ける坂口の姿に次第に感情移入し、50分を超えた頃には、技術を超え「殺気がなくなり、全身の力が抜け、相手を見るのではなく、五感を研ぎ澄まし本能で戦う」という、まるで憑依したかのような境地に達しているのを感じたと語っています。

本作は、実は2013年4月6日に開催された坂口拓の引退イベント「男の花道　最後の愛」の中で、ヒューマントラストシネマ渋谷にて一日限定で一度だけ上映されていました。当時の上映バージョンは、太田プロデューサーによれば、「正式な音楽や効果音、映像処理などのポスプロ作業は仮の状態」であり、作品として完全に完成させるためには追加の予算が必要でした。そのため、正式な劇場公開を目指すにあたり、クラウドファンディングによって製作資金を調達する運びとなりました。

2018年8月31日からCAMPFIREにて支援募集が開始され、同年10月30日に募集を終了。当初目標としていた300万円を大きく上回る、7,818,500円もの資金を、966人の支援者から集めることに成功しました。この資金によって作品は完成に至り、2020年8月21日の全国公開が実現したのです。そのため、公式サイトやメディアでは「9年前、撮影したまま眠っていた」作品として紹介されることもあります。また、本作は2020年9月19日に急逝した俳優・斎藤洋介氏の遺作の一つとなりました。

あらすじ

物語は慶長9年（1604年）を舞台に展開します。京都を拠点とする吉岡流道場は、宮本武蔵の道場破りによって、師範代である吉岡清十郎とその弟・伝七郎という二人の高弟を失い、武蔵に対して深い恨みを募らせていました。一門は、まだわずか9歳の清十郎の嫡男である吉岡又七郎と武蔵との決闘を名目に、武蔵をおびき出す計画を立てます。そして、その決闘の場に一門衆や雇われた野武士ら総勢588人を隠し、武蔵を奇襲し、一気に葬り去ろうと目論んでいました。

しかし、武蔵は吉岡流の策略を見抜き、逆に先手を取って奇襲を仕掛けます。待ち伏せていた吉岡流の一門衆や野武士たちは、武蔵の想像を絶する剣技と圧倒的な力によって次々と倒され、最終的には総勢588人すべてが武蔵によって制圧されてしまいます。

キャスト

宮本武蔵：坂口拓
忠助：山﨑賢人
* 師匠：斎藤洋介

もう一度検索