狐井城山古墳

狐井城山古墳の概要

狐井城山古墳（きついしろやまこふん）は、奈良県香芝市の狐井地区に所在する古墳です。前方後円墳という形状を持ち、馬見古墳群の一部を構成しています。この古墳は史跡としての指定はされていませんが、地域の歴史において重要な位置を占めています。

建設の背景

古墳は奈良県西部にある狐井集落の南方の台地に築造されました。その規模は大きく、前方後円墳としては香芝市内で最大のものとされています。墳丘は中世から近世にかけて城砦としても使用され、墳丘の形状が改変されていることが確認されています。また、古墳の周囲には周濠と外堤が設けられ、発掘調査が何度か実施されています。

外観と特徴

古墳の墳形は北を向いた前方後円形です。墳丘の全長は約140メートルで、後円部分の直径はおよそ90メートル、前方部は幅110メートルに及びます。墳丘の外表部からは葺石や、円筒埴輪、朝顔形の埴輪片などが出土しており、古墳の時代背景や葬儀の様相などを知る手がかりとなっています。埋葬施設の正確な位置は不明ですが、近隣からは刳抜式長持形の石棺の破片が発見されており、同じタイプの石棺の使用が示唆されています。

年代と被葬者の考察

築造時期は古墳時代の中期から後期にかけての5世紀末から6世紀初頭とされており、当時においては大王墓と同等の規模を誇ります。被葬者については特定されていませんが、顕宗天皇や武烈天皇に関連する墓と考えられる説も存在します。この点についても研究者の間で議論が続いています。

地元の歴史的意義

この古墳の近くには狐井稲荷古墳があり、地域の王族や有力者の墓が集まりやすい場所とされています。狐井城山古墳は、顕宗天皇の「傍丘磐杯丘南陵」として位置づけられることもあり、隣接する狐井稲荷古墳によって確認される子持勾玉などの副葬品も注目されています。

発掘調査と文化財

古墳は中世から近世にかけて岡部氏によって城砦として使用され、1970年に初田川で石棺の蓋石が発見されました。これに続いて1980年代には外堤の改修工事に伴い、いくつかの発掘調査が行なわれています。1995年には、初田川から発見された蓋石が香芝市の有形文化財に指定されました。この蓋石は兵庫県の加古川流域で産出された竜山石製であり、その大きさや形状からも重要な文化財とされています。

まとめ

狐井城山古墳は、奈良県における古墳時代の理解を深めるうえで重要な遺跡です。墳丘の整備や周辺の発掘調査を通じて、当時の社会や文化を知る貴重な情報を提供しており、現在も研究が進行中です。地域の歴史的背景を感じながら訪れる価値のある場所といえるでしょう。

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