狙撃砲

狙撃砲

狙撃砲（そげきほう）は、大日本帝国陸軍が第一次世界大戦後に開発した口径37mmの歩兵砲です。本砲は、直射によって機関銃陣地を排除することを目的として設計されました。

概要

第一次世界大戦中、各国は塹壕戦における機関銃陣地排除の重要性を認識し、軽量火砲の開発に乗り出しました。日本もこの流れを受けて、37mmの軽量火砲を開発することになりました。大正5年（1916年）には陸軍技術本部に対し「機関銃破壊砲」としての審査が命じられました。設計方針として、砲身後座式を基本に防盾や各パーツの着脱が可能な機構が求められ、以下のスペックが設定されました。

• - 口径: 37mm
• - 初速: 550m/s
• - 安定重量: 150kg
• - 弾薬: 破甲弾（弾重: 0.7kg）
• - 炸薬: 黄色薬または茶褐薬
• - 信管: 弾底信管
• - 運搬方法: 着脱式の車輪を使用し、輓曳または分解担行

大正6年（1917年）には試作品が下附され、同年中に「狙撃砲」に名称が変更されました。さらに、大正7年（1918年）には大量生産が指示され、次第に本格的な生産体制が整いました。この砲は後にロシアでの試験も行われ、性能評価が行われました。

構造

狙撃砲は駐退機を備えた砲身後座火砲で、砲身は特殊鋼製です。全長は1040mmで、閉鎖機は半自動垂直鎖栓式です。施条は右回り16条で、砲腔内施条長は754mmとなっています。防盾は上下に分かれ、両方とも3mmの厚さを持ちます。この構造により、砲車の高さを変更でき、実戦では多様な地形や状況に適応可能です。

運用

狙撃砲は、歩兵の突撃に先立って敵の機関銃陣地を撲滅することを主要な任務とし、その機動性を生かして攻撃や防御の際に極めて重要な役割を果たします。また、指揮官には独自の判断力が求められます。敵陣地占拠後の逆襲に備えると同時に、退却時には敵勢力に猛射を加え、味方の救援を行うことが求められます。

狙撃砲隊は通常、ある歩兵連隊に配属され、戦砲隊として運用されることが多いです。戦砲隊は2門の砲を装備し、通常は軍曹または伍長が指揮にあたります。弾薬分隊も存在し、戦砲隊を効率よくサポートします。

実戦と関連兵器

狙撃砲は大正6年に始まるシベリア出兵で初めて実戦投入され、その後中国大陸でも使用されました。この砲の車載型は、初期の国産戦車に搭載されたこともあり、昭和14年時点でもその実戦投入が見られました。特に満州事変や第一次上海事変では本砲が戦力の一部として利用され、陸軍の装甲艇にも搭載された例があります。これにより狙撃砲は様々な戦場で幅広く応用されました。

まとめ

狙撃砲はその軽量性と高い機動力から、戦場での確かな効果を持ち続けました。口径37mmのシンプルな設計の背後には、塹壕戦の苦境を打破するための工夫が凝らされています。多くの戦闘に参加し、長い期間にわたって信頼される火力支援を提供したこの兵器は、日本の軍事技術の成長を象徴する存在の一つです。

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