狙撃稜線の戦い

狙撃稜線の戦い：朝鮮戦争における熾烈な高地争奪戦

狙撃稜線の戦いは、朝鮮戦争中の1952年10月14日に始まり、国連軍と中国人民志願軍の間で繰り広げられた激しい戦闘です。この戦いは、鉄原と金化地区を結ぶ重要な地域、特に五聖山から金化方面に伸びる稜線上の高地群を巡って展開されました。

戦闘の背景

1952年、鉄原-金化地区では、アメリカ軍第9軍団が韓国軍と協力して防御線を構築していました。一方、中国人民志願軍は第15軍と第38軍を配置し、両軍は一進一退の攻防を繰り返していました。特に、五聖山から伸びる稜線上の前哨陣地は、国連軍の陣地を監視できるだけでなく、金化の防御にとっても大きな脅威となっていました。

狙撃稜線は、この稜線の一部で、海抜580メートル、約1平方キロメートルの長方形の突出した地形です。1951年10月、この稜線に配置された中国軍の狙撃によって、アメリカ軍が大きな損害を被ったことから「狙撃稜線」と呼ばれるようになりました。稜線には、南のA高地、北のY高地、東の石岩高地があり、これらの高地は中国軍にとって五聖山防御の要衝であり、韓国軍にとっては主抵抗線を監視する脅威を排除し、五聖山攻撃の足場となる重要な地形でした。

戦闘の経過

10月14日、韓国軍第2師団は攻撃を開始しましたが、中国軍の反撃に遭い、高地の確保に失敗しました。翌15日、A高地と石岩高地を一時占領したものの、中国軍の夜襲により撃退されました。その後、韓国軍は砲撃を集中させ、16日に再びA高地と石岩高地を占領しましたが、19日には撤退を余儀なくされました。

20日には、第17連隊がA高地を奪還し、その後も攻防戦が続きました。25日には、第2師団が三角高地の作戦も担当することになりましたが、11月5日、第9軍団は損害が大きいため、三角高地の攻略を中止しました。11月11日、韓国軍は部隊交代を行い、第32連隊を狙撃稜線に投入しましたが、A高地を失いました。その後、第17連隊が奪還作戦を行い、A高地と石岩高地を奪還しました。

11月13日、中国軍は再びA高地を奪還しましたが、第17連隊の反撃により、A高地は再び韓国軍の手に戻りました。17日には、石岩高地も奪還し、これにより、A高地と石岩高地の完全占領に成功し、中国軍の反撃を最後まで阻止しました。11月25日、狙撃稜線の確保に成功した第2師団は、第9師団と交代し、部隊整備に入りました。

戦闘の意義と影響

狙撃稜線の戦いは、三角高地の攻略こそならなかったものの、国連軍が重要な前哨陣地を確保し、中朝軍の士気を大きく削ぎました。これにより、国連軍は戦線全体の主導権を握り、休戦会談を有利に進める上で大きな貢献を果たしました。この戦いでの功績により、多くの将兵が勲章を授与されました。特に、師団長の丁一権中将には殊勲十字章が、第17連隊の将校にはシルバースターが贈られました。

参加部隊

国連軍:
第9軍団
韓国軍第9師団
韓国軍第2師団
第17連隊
第31連隊
第32連隊
第37連隊
その他砲兵部隊、工兵部隊、戦車部隊など

中国人民志願軍:
第15軍
第45師
第29師
第12軍
第31師
第34師

参考資料

佐々木春隆『朝鮮戦争韓国篇 下巻 漢江線から休戦まで』原書房、1977年。
韓国国防軍史研究所 編著 著、翻訳・編集委員会 訳『韓国戦争 第6巻 休戦』かや書房、2010年。
军事科学院军事历史研究所 編著『抗美援朝战争史（修订版） 下巻』军事科学出版社、2011年。
“6.25전쟁사 제10권-휴전회담 고착과 고지쟁탈전 격화” (PDF) 韓国国防部軍史編纂研究所。
* “6.25전쟁 주요전투 제2권” (PDF) 韓国国防部軍史編纂研究所。

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