中国人民志願軍

中国人民志願軍の概要とは

中国人民志願軍（ちゅうごくじんみんしがんぐん）は、朝鮮戦争に参戦した中華人民共和国の公式部隊の名称です。この軍の設立は、当時の国際情勢に深く関連しています。野心的なアメリカ主導の国連軍の活動が、朝鮮半島の情勢を大きく揺るがす中、中国共産党は国防の観点から介入を決定しました。

参戦の背景

1950年6月25日に始まった朝鮮戦争では、最初は朝鮮人民軍が優勢でした。しかし、アメリカ軍による仁川上陸作戦により戦局は変化し、国連軍が北へ進攻すると、平壌も占領される事態に至りました。この状況に対し、当時新興国家であった中華人民共和国は、国際的な脅威と見なされた国連軍の動向に対して、介入を決断します。ソ連との友好条約を背景に「人民志願軍」と名づけられたこの部隊は、実質的には人民解放軍の一部隊でありながら、表向きは義勇兵として参戦する形を取りました。

1950年7月7日、周恩来の指導の下、東北辺防軍が組織され、正規部隊が編入されました。その後、日本ではあまり知られていないが、中国人民志願軍は1950年10月19日に正式に出撃し、米韓軍への攻撃を開始しました。この奇襲攻撃により、国連軍は大打撃を受け、最後には平壌及びソウルの占領に成功しました。

戦闘と戦術

中国人民志願軍は、中国特有の地勢を利用した人海戦術を展開しました。高い山々に隠れながら大量の兵士を投入し、米韓軍の包囲を果たしました。狭い地域での戦闘が行われ、多くの戦闘が北朝鮮国内で発生しましたが、戦局は1953年まで四ヶ月以上続きました。その間の戦争行為は互いに様々な記録を持ち、中国軍の戦争犯罪はその詳細が不明確に残っています。

1953年7月27日には、長い戦闘の末、休戦協定が締結され、国連軍、中国人民志願軍、朝鮮人民軍の最高指導者によって合意されました。これにより、38度線を境に安定が図られることになります。

戦後の動向

休戦時、中国人民志願軍の兵力は約120万人に達しましたが、休戦協定においては後の政治協議で外国軍の撤退が議論されることになりました。そのため、中国は密かに部隊を撤退させ、1955年までの間に段階的に軍を引き上げることに成功しました。

撤退後、戦闘で捕虜となった兵士の一部が台湾に亡命し、その後も様々な動きを見せました。西側諸国での中国人民志願軍の戦死者数は、推計で約100万人とも言われていますが、公式には約17万人とされています。この中には毛沢東の息子である毛岸英も含まれています。

中国人民志願軍の記念日は毎年10月25日に定められ、戦争の記憶を継承するため、多くのイベントが行われています。韓国側でも、この戦争に参加した中国人民志願軍兵士の遺骸返還が進められています。

記念事業とその意義

朝鮮戦争後、北朝鮮では中国人民志願軍の参戦を記念する切手や資料が発行されており、また烈士陵もいくつか存在し、多くの人々にその功績が称えられています。特に、毛岸英の墓は中朝間の友好の象徴として重要視されています。中国と北朝鮮の関係を示す多くの記念館や展示も存在し、この大きな歴史的事件の意義を今でも多くの人々が学んでいるのです。

中国人民志願軍の存在は、朝鮮戦争における中華人民共和国の立場を強化し、北朝鮮と中国の関係を深める一助となったと言えるでしょう。

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