狩猟の獲物、野菜と果物のある静物

狩猟の獲物、野菜と果物のある静物

フアン・サンチェス・コターンによるこの作品『狩猟の獲物、野菜と果物のある静物』は、17世紀スペインの修道士画家による油彩画です。現在、この絵はマドリードのプラド美術館に所蔵されており、現存するスペイン最古の静物画の一つとされています。この作品の歴史は興味深く、当時の文化や美術の状況を反映しています。

歴史的背景

作品は及びその代表的な姿は、1620年頃にさかのぼります。大司教ベルナルド・デ・サンドバル・イ・ロハスによって所有されていた作品の中には、1618年にフェリペ3世によってエル・パルド宮殿の「南の間」のために購入されたボデゴンが存在しました。その中には「アザミ」と名づけられた果物の絵が含まれており、それがコターンの作品である可能性が示唆されています。しかし、コターンは同じテーマを使用して作品を多く描いていたため、特定することが難しいのが現状です。

さらに、この作品は1603年に作成されたとされ、その目録に記載されています。1848年には、スターリング・マックスウェルがマドリードのトリニダード美術館で実物を見たとされ、1835年にはコレクションの一部がスペイン政府に押収され、その後美術館に引き継がれました。

作品の詳細

1602年に作られたこの作品は、左側からの強い光が照らし出す中で、様々な食材が黒い背景の中から際立っています。さまざまな野菜や果物、そして狩猟の獲物が棚に配置され、それぞれが詳しく描かれています。画面左端にはスズメが串に刺さって置かれ、右にはバラ色がかったチョーセンアザミが見えます。その隣には紫色のラディッシュやニンジンが並び、明るい緑の葉を持つレモンが左上に見え、虫食いの痕のあるリンゴがその下にあるなど、リアルな表現が際立っています。

この作品は、光と影の微妙なグラデーションを活かし、見る人に三次元的な印象を与える構成が特徴的です。特に、アザミの曲線と食器戸棚の直線形状の対比が視覚的に魅力的で、全体の構図を巧妙に形成しています。

また、コターンの静物画は、以降の作品においてはモティフの数を減少させ、シンプルな構成へと移行していきますが、本作はその出発点となる重要な作品です。サンチェス・コターンの影響を受けた多くの画家たちが引用されたスタイルは、その後のスペインの静物画の基本的な形式を確立しました。

まとめ

『狩猟の獲物、野菜と果物のある静物』は、単なる静物画以上のものを示しており、当時の精神性や食文化を垣間見ることができる作品です。この絵は、コターンの静物画の特徴を継承しつつ、新しいスタイルの礎を築いた重要なアート作品です。

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