狩野吉信

狩野 吉信とは

狩野吉信（かのう よしのぶ、1552年−1640年）は、江戸時代に名を馳せる狩野派の絵師です。彼は、狩野永徳の子として生まれ、通称は源三郎です。一般には本名を村井久左衛門または左門とし、彼に関しては狩野之信の孫とも言われています。

来歴

吉信は、父である永徳の影響を受けて絵画の道を志しました。彼の人生の中で特に重要な出来事の一つは、元和9年（1623年）に発生しました。この年、狩野派の本家である江戸狩野の当主、狩野貞信が子供のないまま亡くなります。吉信は、狩野長信とともに貞信の従弟である狩野安信を養子として継がせるための説得を行い、貞信もこれに承諾しました。この背景には、安信の兄である狩野探幽に対する配慮があったとされています。

吉信は、安信が本家を継ぐ際にその世話をするために江戸へ下り、その後、再び京都へと戻りました。彼は禁中御用絵師として活躍し、国の重要な依頼に応じて作品を制作しました。

晩年の活動

吉信の晩年は、画業を続けながらも剃髪し、「昌庵」と名乗りました。彼の作品の中で特筆すべきものは、埼玉県川越市の喜多院に所蔵されている『職人絵尽屏風』です。この屏風は、初期浮世絵の重要な遺品として評価されています。吉信は89歳という長寿を全うし、その間に多くの影響を与える作品を残しました。

家族と系譜

狩野吉信の家系は、狩野了昌や狩野昌運に続き、狩野安信との親密な関係を築きました。このような家族のつながりは、狩野派の絵師としての力量を高め、また、後の世代にも多大な影響を及ぼしました。

吉信の作品や彼の生涯は、江戸時代の絵画史において重要な位置を占めており、現在も多くの研究や評価がなされています。それに伴い、彼の作品や業績に関する多くの文献も存在しています。例えば、吉田漱の『浮世絵の基礎知識』や、松木寛の『御用絵師狩野家の血と力』、武田恒夫の『狩野派絵画史』などがそれに当たります。このように、狩野吉信は多くの人々に影響を与えた絵師であり、今なおその存在は広く認知されています。

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