独立美術協会

独立美術協会：日本の近代美術を彩る革新集団

1930年、日本の美術界に新たな潮流を築くべく、独立美術協会が誕生しました。既存の美術団体に属さない自由な表現を追求する姿勢は、数多くの革新的な画家を輩出し、日本の近代美術に多大な影響を与えました。本稿では、独立美術協会の歴史、理念、そして主要なメンバーについて詳しく解説します。

設立の背景：既成美術団体からの決別

独立美術協会の設立は、1926年に結成された「1930年協会」の展覧会が端緒となりました。この協会は、前田寛治や佐伯祐三といった画家たちが中心となり、フランスのバルビゾン派になぞらえて結成されました。しかし、その後、二科会や春陽会、国画会といった既存の美術団体に所属していた画家たちが、既存の枠組みを超えた表現活動を求め、新たな団体設立へと動き出します。

里見勝蔵、児島善三郎といった二科会会員や、春陽会の三岸好太郎、国画会の高畠達四郎、そしてフランス留学から帰国した伊藤廉、福沢一郎、清水登之など、多様な背景を持つ9名が既存団体を離れ、「新時代の美術の確立」を宣言。これが独立美術協会設立の直接的なきっかけとなりました。

第1回独立展と協会の理念：フォービズム的画風と日本の油絵

1931年1月、東京府美術館で開催された第1回独立展は、協会の理念を鮮やかに示しました。フォービズムの影響を受けた、大胆で鮮やかな色彩と力強い筆致が特徴的な作品群は、それまでの日本の美術界に新たな風を吹き込みました。特に、日本的感性と油絵技法の融合という点において、独立美術協会は大きな指針を示したと言えるでしょう。

会員の変遷と内紛：発展と分裂

設立後、野口弥太郎、須田国太郎、曽宮一念、海老原喜之助、井上長三郎といった著名な画家たちが独立美術協会に加わり、協会は発展を続けます。しかし、1937年には内紛が発生し、里見勝蔵、林重義、伊藤廉らが脱退。1939年には福沢一郎も脱退するなど、協会は内部的な葛藤も経験しました。その後、1951年の協会設立20周年を機に、一部の脱退者は会員に復帰することになります。

独立展の継続と会場の移転：現代への継承

独立展は、2011年10月までに79回開催され、日本の美術界において重要な役割を担ってきました。長らく東京都[[美術館]]で開催されてきましたが、2007年からは国立新[[美術館]]を会場として、毎年10月に開催されています。これは、独立美術協会が時代とともに変化し、現代美術シーンにおいても重要な存在であり続けることを示しています。

結論：日本の近代美術史に刻まれた足跡

独立美術協会は、既存の美術団体からの独立を宣言し、自由な表現を追求することで、日本の近代美術に大きな足跡を残しました。フォービズム的画風を基調としながらも、日本の伝統的な美意識を取り入れ、独自の表現を確立した独立美術協会の活動は、後世の美術家たちに大きな影響を与え続け、日本の美術史において重要な位置を占めています。その歴史と理念は、現代においても、美術表現の自由と革新性を追求する者たちにとって、重要な指針となっています。

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