猪俣隆

猪俣 隆 - 元プロ野球選手から寿司職人へ

猪俣 隆（いのまた たかし、1964年6月25日生まれ）は、新潟県長岡市出身の元プロ野球選手で、投手として活躍しました。現在は寿司職人として新たなキャリアを歩んでいます。

経歴

学生時代

新潟県長岡市で育った猪俣は、長岡市立東中学校で野球に親しみ、その後野球留学を経て堀越高校に進学。1982年夏の西東京大会では準決勝まで進出するも、日大二高に敗れました。1983年卒業後は法政大学に進学し、ここでのプレーが評価されます。1年次の新人戦では、明大戦において新人戦初のノーヒットノーランを達成。2年時には完封勝利を収めるなど、徐々にその名を馳せていきました。

猪俣は東京六大学リーグで在学中に優勝を4回経験し、1985年には全日本大学野球選手権で決勝に進出し、完投勝利を収めました。大学時代の成績は、43試合出場、20勝7敗、防御率1.87と素晴らしいものでした。

プロ野球選手としてのキャリア

1986年度のドラフトで阪神から1位指名を受けてプロ入りしました。新潟県出身者がドラフト1位指名を受けたのは猪俣が初めてで、勢いのあるストレートとナックルボールが武器でした。彼は「トレンディエース」とも呼ばれ、大学時代からの期待がかかりましたが、プロ入り後は故障やフォーム改造に苦しみ、成績は伸び悩みました。

特に1993年に11勝を挙げたのをピークに、その後は不調が続き、最終的には中日ドラゴンズに移籍しても一軍登板は実現しませんでした。現役生活の中で「ミスターB」というニックネームが付けられるほどコントロールに苦しんだ彼は、79打席連続無安打という珍記録も残しました。

引退後の挑戦

現役引退後は、渡米して寿司職人として新たな道を歩み始めました。三重県津市での修行を経て、2001年にワシントンD.C.で腕を振るいました。なお、彼は左利きであったため、寿司職人としての修行中には右利きに矯正する努力をしていました。彼の意欲的な取り組みは地元メディアにも取り上げられ、「寿司界のジミ・ヘンドリックス」と称されることもありました。

猪俣の野球選手から寿司職人への転身は、意外な形で夢を実現したものです。2014年にはテレビ番組でその様子が紹介され、年収500万円を稼いでいることが報告されました。現役時代が持つ魅力と、寿司職人としての日々を重ねた彼は、今も日本と海外での両方の文化に根ざした独自のキャリアを歩んでいます。

猪俣隆の生涯にわたる挑戦は、いかに自分の道を見つけ、進化していくかというストーリーとして、多くの人に感動を与えることでしょう。

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