猪熊重二

猪熊 重二（いのくま じゅうじ）

猪熊重二は、1931年1月9日に群馬県で生まれました。彼は中央大学を卒業後、小学校の教員や弁護士としてのキャリアを積み、その後、東京都港区西新橋に自身の法律事務所を設立しました。

政治経歴と公明党

猪熊は1983年に第13回参議院議員通常選挙に公明党の公認候補として出馬しましたが、残念ながら落選しました。しかし、1986年の第14回参議院議員通常選挙では比例区から公明党の公認候補として見事に初当選を果たし、以降2期にわたり議員を務めました。彼は参議院法務委員長や参議院科学技術特別委員長、中央選挙管理委員会委員など、数々の役職を歴任しました。

政治家としての彼の業績の一つに、臓器移植に関する法律の「猪熊案」があります。この法案は、医療の分野での重要な一歩を示すものであり、技術的な進展と同時に倫理的な側面にも配慮したものと評価されています。

人権と法治主義への関心

猪熊は、法治主義や基本的人権について深い関心を持っていました。特に1995年に警察庁がオウム真理教への強制捜査を行った際、その影響として防衛庁に自衛隊の協力を要請することが法治主義の退化につながる可能性があると警鐘を鳴らしました。彼は「法律を脱法したり拡大解釈したりすることは、国における基本的人権のなし崩しにつながることを危惧する」と発言しました。このような姿勢は、猪熊が人権保護や民主主義の原則を重要視していたことを示しています。

1997年には、臓器移植法に関する法案審議で、彼自身の名を冠した「猪熊案」という法律案が複数の案とともに審議されました。これにより、猪熊は医療政策の見直しと倫理的な議論を促す一翼を担いました。

個人的な側面

猪熊重二は、政治活動だけでなく社会問題にも積極的に関わっていました。彼は政治犯である辛光洙の釈放に署名するなど、国際的な人権問題にも意見を述べていたことが知られています。これらの行為は、彼の信念に基づくものであり、真摯な態度がうかがえます。

猪熊重二は2007年1月28日に肺癌により76歳で亡くなりました。通夜や葬儀は近親者のみで行われ、香典や供花、弔電などは辞退されました。

彼の娘は、東京都の副知事である猪熊純子です。猪熊重二の活動とその影響は、今なお日本の政治や法律において引き継がれており、彼の遺したメッセージは、多くの人々にとって重要な教訓となっています。

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