猪狩誠也

猪狩誠也の生涯と業績

猪狩誠也（いかり せいや、1933年 - 2018年4月23日）は、日本の広報学の先駆者として知られ、卓越した編集者および研究者としてのキャリアを築きました。東京で生まれた彼は、早稲田大学第一商学部に進学し、1957年に卒業。卒業後はダイヤモンド社に入社し、経営に関する書籍の編集や翻訳を手がけました。この頃、彼はアメリカからのパブリック・コミュニケーション論に触れ、それが彼の広報論への関心を高めるきっかけとなりました。特に、南博や石川弘義などの専門家との交流を通じて、社会心理研究所にも関与していきました。

1970年代には、彼は月刊誌『近代経営』の編集長を務め、さらには出版局の局長としても活躍しました。1973年にはダイヤモンド・ビッグ社の取締役に就任しましたが、病気のため1977年に退任。退職後も積極的に広報活動に貢献し、1978年には現代経営研究会を設立。続いて1979年に経済広報センターの設立にも関わり、関連する機関誌の編集を行っていました。

1987年には現代広報研究所の所長に就任し、1995年には東京経済大学のコミュニケーション学部が設立される際に教授として迎え入れられました。彼は学部長としても活躍し、2004年の定年退職時には名誉教授の称号を授与されました。このように、猪狩は彼自身の学問的な探究だけでなく、広報教育の発展にも力を尽くしました。

彼の業績が認められ、1999年には日本パブリック・リレーションズ協会から特別賞と教育学術部門賞を受賞しました。また、2003年から2011年まで日本広報学会の副会長も務め、広報活動の円滑な推進に寄与しました。

主な著作

猪狩誠也は多くの著作を残しています。著書の中には、1979年に出版された『燃える戦略集団：C&C時代を切り拓く日本電気』や、1998年に発表された『企業の発展と広報戦略：50年の歩みと展望』などがあります。これらの書籍は、彼の広報論への深い洞察を反映したものであり、実務に役立つ理論や戦略についての内容が盛り込まれています。

また、2007年には『広報・パブリックリレーションズ入門』を発表し、広報に関する基本的な知識を分かりやすく解説。さらに、2011年の『日本の広報・PR100年：満鉄からCSRまで』や2015年の続編『日本の広報・PR100年：満鉄、高度成長そしてグローバル化社会』など、広報の発展を地域や時代ごとに分析した著作も評価されています。共著や編著としても多くの作品を残し、広報分野の理論と実践を図る貴重な教材を提供してきました。

猪狩誠也は、広報学の発展に尽力し、日本の広報における基盤を築いた重要な人物といえるでしょう。彼の著作や業績は、今もなお広報の実務に携わる人々や研究者たちに指針を与え続けています。

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