猪高緑地

猪高緑地：都会の喧騒を忘れさせる緑豊かなオアシス

猪高緑地は、愛知県名古屋市名東区に位置する広大な総合公園で、その面積は66.2ヘクタールに及びます。「いたかの森」とも呼ばれ、隣接する長久手市の「ほとぎの里緑地」と一体的に整備されています。本稿では、この両緑地を合わせて、その歴史、自然、施設について詳しく解説します。

歴史：里山から都市公園へ

猪高緑地一帯は、かつて尾張丘陵と呼ばれる丘陵地で、田畑と雑木林が広がる里山でした。行政的には愛知郡猪高村に属していましたが、1955年に名古屋市に編入。合併を見越した都市計画により、1958年に都市計画緑地として整備が開始されました。その後、数回の修正を経て、現在の姿となりました。

阪神・淡路大震災を契機に、猪高緑地は広域避難場所に指定され、防災拠点としての役割も担っています。

保全活動：市民と行政の協働

1998年には、名東自然倶楽部が設立され、猪高緑地の保全活動や自然散策会などが活発に行われています。2000年から2001年にかけては、森林の整備や棚田の復元が行われました。名古屋市も2001年から「オアシスの森づくり事業」を開始し、市民と協働で森の再生を目指しています。特筆すべきは、猪高緑地にある棚田で、2003年時点で名古屋市内に残る唯一の棚田でした。約2000平方メートルの広さに12枚の田んぼが作られ、稲作が行われています。

かつて猪高緑地に続く山林は日進市の椙山女学園大学付近まで続いていましたが、宅地造成により、その多くが失われました。しかし、長久手市側の一部は「ほとぎの里緑地」として整備され、2013年に開設されました。

名東市民倶楽部の活動は高く評価され、2006年度には国土交通省の手づくり郷土賞（地域活動部門）を受賞しました。

飛鳥時代の窯跡：歴史の痕跡

緑地の東麓（長久手市側）では、長湫南部土地区画整理事業に伴う発掘調査が行われ、飛鳥時代の窯跡（丁子田１号窯、市ケ洞１号窯）と須恵器が発見されました。須恵器には「瓫五十戸（ほとぎのさと）」という刻銘があり、当時の地名を示すと考えられています。また、奈良県明日香村の石神遺跡からも同様の刻銘がある須恵器が出土しており、猪高緑地周辺で作られた須恵器が飛鳥まで運ばれた可能性が指摘されています。出土した須恵器10点は、長久手市の文化財に指定されています。

自然：豊かな生態系

猪高緑地内は、名古屋市内とは思えないほど木々や竹が鬱蒼と生い茂り、豊かな自然が preservedされています。森林を散策する際は、ハチやマムシなどに注意が必要です。

主な施設

猪高緑地（名古屋市）

井堀の棚田
テニスコート（２面）
アーチェリー場
森の集会所（旧名古屋市名東プール受付）
駐車場（旧名古屋市名東プール跡地）

ほとぎの里緑地（長久手市）

ほとぎの里交流館
森の広場
展望デッキ
ギャラリー

周辺情報

猪高緑地は、名古屋市名東区、長久手市、日進市にまたがるエリアに位置しています。周辺には、以下の施設があります。

日進市立日進北中学校
日進市立竹の山小学校
椙山女学園大学 日進キャンパス

交通アクセス

名古屋市営バス

名古屋市営地下鉄東山線 本郷駅より：幹本郷1号系統「障害者スポーツセンター」または「猪高緑地南」下車

名鉄バス

名古屋市営地下鉄東山線・愛知高速交通東部丘陵線（リニモ） 藤が丘駅より
星ヶ丘行・愛知淑徳大学行・愛知学院大学行（長久手住宅・竹の山北経由）：「井堀南」下車、徒歩約5分
トヨタ博物館前行：「長久手住宅」下車、徒歩約10分

その他

* 愛知高速交通東部丘陵線（リニモ）杁ヶ池公園駅よりN-バス（長久手市コミュニティバス）中央線：「市が洞」下車

自家用車の場合、名古屋市側には専用駐車場がありますが、長久手市側には駐車場がないため注意が必要です。

猪高緑地は、都会の中で豊かな自然に触れられる貴重な場所です。ぜひ一度、足を運んでみてください。

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