猫と私の金曜日

猫と私の金曜日

『猫と私の金曜日』は、漫画家・種村有菜氏が手掛けた日本の漫画作品です。集英社の漫画雑誌『マーガレット』にて、2013年5号から2015年24号にかけて連載されました。単行本はマーガレットコミックスレーベルより、全11巻が刊行されています。本作は、種村氏がかつて専属契約を結んでいた『りぼん』から『マーガレット』へ移籍して以降、2作目の連載作品となります。

あらすじ

物語の主人公は、高校1年生の立花愛。彼女は、同じ高校の1学年上で、学校中の注目を集めるイケメン人気者、芹沢未亜に憧れを抱いていました。図書委員を務める愛にとって、毎週金曜日に芹沢が本を借りに図書館を訪れる時間は、心待ちにしているひとときです。しかし、そんな彼女の金曜日の放課後は、同じマンションに住む小学5年生の従弟、本条猫太の家庭教師をする時間でもありました。

愛は、芹沢からの期待させるような態度に勇気づけられ、告白を決意し手紙を書きます。ところが、その手紙を猫太に隠されてしまい、さらには芹沢とのメールの履歴や連絡先まで消されてしまう事態に。その行動の理由を問い詰めた愛に対し、猫太は「愛ちゃんのことが好きだから」と、ストレートな告白をします。その後、憧れの存在であった芹沢からもまさかの告白を受け、両想いとなった愛でしたが、猫太は決して諦めず「愛ちゃんを諦めない」と宣言。執拗な猫太の猛アピールは続き、愛の心は次第に彼に惹かれていきます。そしてついに、愛と猫太は晴れて付き合うことになります。しかし、二人の間には、さまざまな困難や障害が待ち受けていました。

登場人物

※担当声優はドラマCD版のものです。

主要人物

立花 愛（たちばな あい）
声 - 中島愛
本作の主人公。連載開始時は高校1年生で、後に2年生へ進級します。可愛いものやチョコレートが好きで、成績は10段階評価で全て5を取るほどの優秀さ。小学4年生の妹・恋と両親との4人家族です。図書委員として、憧れの芹沢が来る金曜日を楽しみにしていますが、その一方で、金曜日の放課後には従弟の猫太の家庭教師をしています。猫太からの告白を最初は真剣に受け止めず流していましたが、憧れの芹沢と付き合い始めてからも猫太のペースに巻き込まれます。芹沢が週刊誌にスクープされた際には写真に一緒に写り込み、記者に囲まれる経験も。後に芹沢の母の計らいで温泉旅館を訪れますが、その夜に猫太が押しかけてくる騒動も発生。従兄弟の中では唯一年上のミケに強い影響を受けており、彼が初恋の相手でしたが、留学で離ればなれになり、数年間連絡が途絶えていました。猫太がアメリカ行きを決めたことを知らされてからは、本心を言えずに声が出なくなってしまいます。

本条 猫太（ほんじょう ねこた）
声 - 梶裕貴
愛の従弟で、愛と同じマンションの別階に住んでいます。小学5年生として登場し、後に6年生になります。カレーとゲームが好きで、成績も優秀です。小学4年生の時、熱を出して倒れた自分を愛が全力で病院へ運んでくれた出来事をきっかけに、彼女に特別な感情を抱くようになります。愛に家庭教師をしてもらうため、わざと成績を下げて愛に接近しましたが、愛に好きな相手がいることを知り焦り、芹沢との関係を妨害するようになります。普段は天使のような見た目ですが、愛と二人きりの時は強気な態度で愛情表現をします。非常にやきもち焼きな一面も。芹沢に対して当初は敵対心を燃やしていましたが、愛が猫太を選んだ後には和解します。実は、小学校卒業後に海外で働くことになった父親の都合で、家族でアメリカへ移住することが決まっており、愛を家庭教師に指名することが、そのアメリカ行きを承諾するための交換条件でした。

芹沢 未亜（せりざわ みあ）
声 - 興津和幸
愛が憧れる先輩で、高校2年生として登場し、後に3年生へ。学内では男女問わず人気のある人物です。母親は女優のセリーヌ蘭で、15歳で未亜を出産しています。女の子に泣かれることが苦手。特別な環境で育ったため、平凡な愛の日常に安らぎを感じ、図書館に通ううちに愛に惹かれていきます。愛と付き合うことになりますが、二人の関係が週刊誌に報じられ、騒動に巻き込まれます。一時期は猫太と愛を巡る三角関係を展開しますが、愛が自分と猫太の間で揺れ動いていることを察し、自身の芸能界デビューを理由に、あえて愛に別れを告げます。すぐに愛を忘れることはできませんでしたが、紆余曲折を経て愛の親友であるモス子に興味を抱くようになります。愛とは完全に別れた後も友人としての関係を続けますが、これは恋愛関係の面倒くささから解放され、「愛がもう自分を友人以上に見ない」という状況に安心感を覚えているためだと語っています。

モス子（モスこ）
声 - 種田梨沙
愛の親友。本名は瀬戸内美鳥。愛とは対照的に、ふんわりとした雰囲気の女の子。実は裕福な家庭のお嬢様育ちです。小学生の頃は現在よりふっくらした体型で、男子からからかわれた経験から、男の子が苦手になっていました。未亜から愛への想いの相談を受けているうちに、彼女自身が未亜に惹かれ、後に告白します。モスバーガーを大変好んでおり、その食習慣から現在のあだ名がつきました。

杉本 三神（すぎもと みかみ）
声 - 櫻井孝宏（少年時代 - 潘めぐみ）
愛の従兄弟の一人で、愛より1歳年上。親戚の子供たちの中で「お兄ちゃん」的な存在で、「ミケ」と呼ばれています。やや病弱で穏やかな雰囲気を持っており、チョコレートや読書など、愛の好きなものに影響を与えました。ピアノが得意で、3年前にピアニストを目指しドイツへ留学していました。第29話で帰国し、しばらく猫太の家で暮らすことになり、愛の通う高校へ編入します。帰国直後から愛と再会しますが、3年前とは異なり、軽薄な性格に豹変しており、愛は最初彼がミケであると気づきませんでした。同じクラスになったのを機に愛の周囲を探り、隙あらば愛を口説こうとします。留学中はピアニストを目指していましたが、実は心臓に難病を抱えており、ピアノを続けることが困難になったために帰国した模様です。日本には、その難病の手術が可能な医師がおり、愛の誕生日である12月2日に手術を受けるために帰国しました。猫太は、机に向かってピアノを弾く仕草をしながら悔し涙を流す彼の姿を目撃しており、ミケのピアニスト復帰をサポートすることになります。

その他の登場人物

セリーヌ蘭（らん）
女優。未亜の母親で、本名は芹沢蘭子。15歳で未亜を出産し、未婚のまま17歳でデビュー、女優として成功を収めました。未亜の存在が週刊誌によって隠し子としてスクープされてしまいます。

舞堂 奏（まいどう かなで）
声 - 河西健吾
猫太のクラスメイトの男子生徒。両頬に動物のヒゲのような模様があります。関西弁で話します。種村有菜氏の別作品『31☆アイドリーム』に登場する舞堂響の弟の一人です。幼い頃に両親を事故で亡くし、兄弟はそれぞれ別の親戚に預けられ離れ離れになった過去を持ちます。預けられた親戚が関西に住んでいたため関西弁が身につきましたが、東京に戻った際にその言葉をからかわれ、猫太に救われたことから、猫太を親友だと思っています。

愛の両親
声 - 神田朱未（母） / 利根健太朗（父）

猫太の両親
声 - 大原さやか（母） / 杉田智和（父）

書誌情報

種村有菜 『猫と私の金曜日』 集英社 〈マーガレットコミックス〉、全11巻

第1巻 2013年6月25日発売、ISBN 978-4-08-845056-8
第2巻 2013年9月25日発売、ISBN 978-4-08-845098-8
番外編 猫と私の金曜日（『マーガレット』2013年12号別冊ふろく『miniマーガレット』掲載）を収録。
第3巻 2013年12月25日発売、ISBN 978-4-08-845141-1
第4巻 2014年3月25日発売、ISBN 978-4-08-845179-4
第5巻 2014年6月25日発売、ISBN 978-4-08-845225-8
第6巻 2014年9月25日発売、ISBN 978-4-08-845262-3
番外編 猫と奏の水曜日（『マーガレット』2014年8号別冊ふろく『春のMCまつり 恋する日』掲載）を収録。
第7巻 2014年12月25日発売、ISBN 978-4-08-845315-6
第8巻 2015年3月25日発売、ISBN 978-4-08-845360-6（ドラマCD同梱版：ISBN 978-4-08-908229-4）
番外編 お姉ちゃんに戻る日（『マーガレット』2015年3・4合併号別冊ふろく『miniマーガレット』掲載）を収録。
第9巻 2015年6月25日発売、ISBN 978-4-08-845397-2
第10巻 2015年9月25日発売、ISBN 978-4-08-845442-9
* 第11巻 2015年12月25日発売、ISBN 978-4-08-845494-8

ドラマCD

『マーガレット』本誌の付録としてドラマCDが制作されました。2014年9号には第1弾が、2015年2号には第2弾がそれぞれ付録として同梱されています。また、単行本第8巻にはドラマCD同梱版も発売されました。

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