猫谷戸台遺跡

猫谷戸台遺跡の概要

猫谷戸台遺跡（ねこやとだいいせき）は、神奈川県横浜市都筑区に位置し、縄文時代および平安時代の集落の跡が発見された遺跡です。この遺跡は、かつて港北ニュータウンの開発によって発掘調査が行われ、重要な文化財とされています。

開発の背景

1965年に港北ニュータウン事業が発表されると、都筑区を含む周辺地域は大規模な住宅地への再開発が進みました。この開発に伴い、268箇所にも及ぶ埋蔵文化財の存在が確認され、その多くが1970年代から1980年代にかけて発掘調査されました。猫谷戸台遺跡もその一つで、周囲には多数の縄文時代の遺跡が存在しています。

調査の進行

猫谷戸台遺跡は、1978年から1979年にかけて詳細な調査が実施され、丘陵の最上部から南東の斜面にかけて、縄文時代の竪穴建物や落とし穴が発見されました。特に、早期から中期にかけての竪穴建物が5軒確認され、その周辺には落とし穴や集石が散見されました。出土した遺物には、縄文早期の稲荷台式土器や前期の黒浜式土器、さらに中期の勝坂式土器など、さまざまな土器が含まれています。

平安時代の遺構

特筆すべきは、9世紀前半の平安時代に属する竪穴建物が南東側の斜面に存在する点です。また、平安時代の火葬墓も発見され、近隣の寅ヶ谷遺跡との関連性も指摘されています。このように、猫谷戸台遺跡は縄文時代から平安時代にかけて、長い歴史を有する重要な遺跡であることが確認されました。

現在の状況

調査後、猫谷戸台遺跡は住宅開発によって影響を受け、ほとんどの遺構は消失したと考えられています。しかし、その跡地には「川和富士公園」が整備され、地域のシンボルとして親しまれています。この公園の北西約200メートルの位置には江戸時代に築かれた川和富士塚という富士塚も存在しており、歴史的な地脈が感じられる場所でもあります。

位置関係の複雑さ

近年、川和富士公園には新たに造られた川和富士がありますが、その位置関係はやや複雑です。かつて川和富士があったとされる場所は現在住宅地に変わり、猫谷戸台遺跡の跡地に新しい川和富士が建設されているため、地図上で直感的に理解することが難しい状況となっています。

まとめ

猫谷戸台遺跡は、縄文時代から平安時代に至る重要な歴史的遺構を含む場所であり、近年の開発によりその痕跡が消えつつありますが、川和富士公園として地域の憩いの場となり、新しい形で歴史が息づいています。

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