猿渡川

猿渡川について

猿渡川（さわたりがわ）は、愛知県の西三河地方を流れる二級河川で、猿渡川水系の重要な一部を成しています。この川は愛知県豊田市山之手を起点とし、安城市、知立市、刈谷市を経て知多湾（三河湾）へと流れ込んでいます。流域全体の面積は約47.2平方キロメートルであり、川の全長はおよそ17.5キロメートルです。

地理的な特性

猿渡川の流域は標高0メートルから40メートルほどの範囲で、流れは非常に緩やかな勾配を持つ低平地となっています。この地域には約16万6千人の住民が生活しており、隣接する境川流域の約3分の1の人口規模です。猿渡川の流域の中部・南部は、明治用水の水を農業に利用できるため、多くのため池は存在せず、一方で周辺地域には農業用のため池が点在しています。

流路の概要

猿渡川は豊田市の市街地から南方面へ1キロメートルほどに位置するトヨタホーム丸山営業所の裏の側溝が源流とされています。この地帯は昭和の地図では「大風川」と記載されていますが、そこから流れ下るにつれて猿渡川として認識されていきます。

川の流路は、愛知県道491号豊田環状線を暗渠で通り、山之手公園を経て流れます。また、猿渡川には名鉄三河線や愛知環状鉄道などの交通路も並行して走り、産業環境や農業地帯が広がっています。川の流れは豊田市大林町から西田町にかけて広い谷を流れ、安城市に入ると西南西へと進路を変えます。

歴史的背景

古代には、この地域でも人々が生活しており、縄文時代の集落跡が見つかっています。中世に入ると、農業の発展とともに新田開発が進み、明治時代には明治用水が整備されて更なる農業の近代化が図られました。こうした歴史の中で、猿渡川周辺は「日本デンマーク」と呼ばれるほどの農業の先進地域となったことが特徴です。

洪水のリスク

地域の地形から、猿渡川は流域に大雨が降るとすぐに水位が上昇し、水害の危険性が高まります。特に知立市の弘法橋周辺での溢水が多く、過去には数回の大雨によって浸水被害が発生しています。これを受けて、2012年には特定都市河川浸水被害対策法に基づき特定都市河川流域に指定され、より厳しい管理が求められるようになりました。

名称の由来

「猿渡」という名前には、「（猿でも渡れるほど）狭く渡りやすい場所」という意味があります。その名の由来は、空海にまつわる伝説によるもので、彼が一匹の親猿と三匹の子猿が川を渡るのを見て、その知恵に感心したことから名付けられたとされています。

猿渡川はその歴史と共に地域社会に根付いた存在であり、農業や都市開発、さらには自然環境を保護する役割を担う重要な河川として、多くの人々に利用されています。

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