猿賀神社

猿賀神社

猿賀神社（さるがじんじゃ、またはさるかじんじゃ）は、青森県平川市猿賀に位置する神社で、古くは深砂宮（じんじゃぐう）と呼ばれていました。その歴史は807年（大同2年）に遡り、戦後には神社本庁の別表神社となっています。

祭神

主祭神として祀られているのは、上毛野君田道命（かみつけののきみ たじのみこと）です。田道命は、蝦夷討伐の際に敗死したとされていますが、その後大蛇の姿となり蝦夷を平定したという伝説が残っています。また、相殿には保食神（うけもちのかみ）が祀られています。

歴史

『日本書紀』には、田道命が367年（仁徳55年）に伊峙水門（いしのみと）で敗死したと記録されています。伝承によれば、田道命は従者によってこの地に埋葬されましたが、その墓を暴いた蝦夷が田道命の遺体が大蛇と化した姿を見て恐れ、現在地西方の猿賀野に祀ったのが神社の始まりとされています。

その後、欽明天皇28年（567年）に洪水が起こった際、田道命の神霊が白馬に乗り流木を舟にして現在地へ遷座したと伝えられています。桓武天皇の時代には、蝦夷征討で苦戦していた坂上田村麻呂が田道命の霊に導かれて大勝したことから、793年（延暦12年）に田村麻呂が祠を建立、807年（大同2年）には勅命により社殿が造営されました。

中世には、仏教の守護神である深砂大王（じんしゃだいおう）と習合し、深砂大権現（神蛇宮）として信仰を集めました。武神として藤原秀衡や北畠顕家など、この地に関わった武将たちからも崇敬されました。江戸時代には、津軽藩の祈願所となり、猿賀山長命院という修験道場も併設されました。

明治時代の神仏分離令によって、1871年（明治4年）に神社となり、地名にちなんで猿賀神社と改称しました。その後、郷社、県社へと昇格し、戦後には神社本庁の別表神社となりました。

祭祀

猿賀神社では、旧暦1月7日に行われる七日堂大祭が有名です。この祭りは、弘前市の岩木山神社や鬼神社と並び、「津軽の七日堂祭」として国の選択無形民俗文化財に選ばれています。

また、例祭の十五夜大祭前日の宵宮（旧暦8月14日）では、同じく国の選択無形文化財、県の無形民俗文化財に指定されている津軽神楽が奉納されます。

社殿

本殿は、文政9年（1826年）に再建された三間社流造（さんけんしゃながれづくり）の建物です。一般的に三間社流造では、梁間（奥行）を2間とするものが多いのですが、猿賀神社の本殿は3間とする珍しい形式です。そのため、青森県における近世神社建築を考える上で重要な建造物として、平成6年に県の重宝に指定されました。

境内

広大な境内には、鏡ヶ池と見晴ヶ池という二つの大池があります。鏡ヶ池は、猿賀信仰の中心となる池で、一面に蓮が生い茂り、その蓮根を加工した「れんこんようかん」は、この地域の特産品となっています。かつては、鵜と鷺の繁殖地としても知られていましたが、現在はその指定は解除されています。

見晴ヶ池の湖畔からは温泉が湧き出ており、隣接する施設で温泉を楽しむことができます。

境内社

境内には、いくつかの境内社も鎮座しています。

胸肩神社（弁天宮）：鏡ヶ池の中島にあり、市杵島姫命を祀っています。
あかい堂（水天宮）：鏡ヶ池の湖畔にあり、水波能売神を祀っています。
池上神社（薬師様）：拝殿の東側にあり、少彦名神を祀り、医薬の神として信仰されています。
日吉神社：鏡ヶ池の中島にある胸肩神社のそばにあり、事代主神を祀っています。

文化財

猿賀神社には、以下の文化財が指定されています。

選択無形民俗文化財（国選択）
七日堂大祭（平成21年3月11日）
青森県指定文化財
本殿（重宝（建造物）、平成6年4月25日）
平川市指定文化財
棟札（有形文化財（歴史資料）、平成18年1月1日）

交通

鉄道：弘南鉄道弘南線津軽尾上駅下車、徒歩15分
バス：JR奥羽本線弘前駅または弘南鉄道弘南線津軽尾上駅より弘南バス「弘前 - 尾上線」乗車、「猿賀神社前」下車すぐ

関連項目

坂上田村麻呂

外部リンク

猿賀神社HP（猿賀神社ホームページ）
猿賀神社（青森県神社庁）
猿賀神社（青森県商工労働部観光局新幹線交流推進課「青森県観光情報アプティネット」）

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