玉の海正洋

玉の海 正洋（たまのうみ まさひろ）

玉の海正洋は1944年2月5日に大阪市に生まれ、愛知県蒲郡市で育った大相撲力士であり、1971年に急性虫垂炎により27歳で逝去しました。彼は片男波部屋（入門当初は二所ノ関部屋）に所属し、力強い相撲と明朗快活な人柄で多くの人々から愛されました。彼の本名は谷口正夫です。

生い立ちと相撲への道

玉の海の家族は決して裕福ではなく、母親が4人の子供たちを女手一つで育てるために懸命に働きました。この環境が、彼に「母のために家を建てる」という強い決意を植え付けました。中学校では柔道を学び、特に優れた実力を持っていましたが、警察官を目指していました。運命的な出会いが、彼を相撲の世界へと導きます。玉乃海太三郎が彼を二所ノ関部屋に勧誘し、そこで彼は1959年に初土俵を踏みました。

相撲人生と出世

玉の海は初土俵時は173cm、67kgの体格で、片男波は彼に多くのトレーニングを課しました。1963年には新十両に昇進し、1964年には新入幕を果たしました。その後、1965年1月場所には同門の横綱大鵬との対戦に勝利し、一気に注目を集めます。大関昇進への道は険しく、初めは勝ち星が少なく苦しみましたが、1968年には念願の幕内初優勝を勝ち取りました。

横綱昇進の前には多くのドラマがあり、1969年の9月場所では再び優勝し、その後横綱昇進へとつながります。彼はその後、1970年には新横綱として名を馳せ、自己の戦績を次々と更新していきます。特に横綱として在位していた10場所間において、彼の成績は130勝20敗という素晴らしいものでした。

横綱としての活躍と人間関係

玉の海は、特に北の富士とライバルでありながら親友でもありました。彼らの対戦は記録的で、共に強豪として互いを高め合いました。横綱昇進後も、両者の戦いは多くのファンにとって記憶に残るものとなりました。彼は人懐っこい性格から『現代っ子横綱』とも称され、周囲に親しまれる存在でした。

突然の死とその影響

しかし、彼の人生は突然の悲劇によって幕を閉じます。1971年の夏巡業中、急性虫垂炎を発症しながらも強行出場を続け、その結果が命取りとなりました。手術から復帰を果たそうとした矢先、彼は急性冠症候群を併発し、たった27年の生涯を閉じました。

玉の海の死は、相撲界に大きな衝撃を与えました。特に北の富士は、彼の訃報を聞いて驚愕し、深い悲しみに包まれました。その後、玉の海の名前は今もなお多くの人々の心に残り、彼を慕う者たちに生き続けています。

まとめ

玉の海正洋は、力士としてだけでなく人間として魅力的な存在でした。彼の相撲スタイルや人生観は、多くの後輩力士たちに影響を与え続けています。日本相撲界の歴史において、彼の存在は永遠に刻まれることでしょう。

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