玉兎

玉兎（ぎょくと）は、仏教や道教の影響を受けた伝説「月の兎」に登場する架空の生物です。月に住み、臼と杵で餅をつくとされています。太陽を象徴する金烏（きんう）と対になる概念です。

伝説における玉兎

玉兎に関する記述は、古くは中国の書物に見られます。

『神異記』：「月中に玉兎あり、杵を持ちて薬を擣（う）つ」

この記述から、月には仙薬が伝わっており、玉兎がその材料となる薬草を杵でつき砕いて薬を作ると解釈されています。

玉兎は、単なる伝説上の生き物としてだけでなく、月の神秘性や不老不死の思想と結びついて、様々な文化に影響を与えてきました。

中国の月探査機

近年では、中国の月探査機に「玉兎」の名が用いられています。

嫦娥3号
嫦娥4号：搭載された無人月面探査車には「玉兎2号」という名が付けられています。

これらの探査機の名前は、中国の伝統的な文化への敬意を示すとともに、宇宙開発へのロマンを象徴するものとして選ばれました。

その他

「玉兎」は、以下のものも指します。

玉兎 (舞踊) - 歌舞伎舞踊・所作事の演目
玉兎 (土産菓子) - 新潟県弥彦村の弥彦神社のウサギ型をした土産菓子

このように、「玉兎」は伝説、宇宙開発、伝統芸能、地域の名産品など、多様な分野でその名を見ることができます。これは、玉兎が持つ文化的 символизм（象徴性）の豊かさを示していると言えるでしょう。

参考資料

『簠簋内伝 金烏玉兎集』（ほきないでん きんうぎょくとしゅう）

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