玉尾皓平

玉尾皓平について

玉尾皓平（たまお こうへい、1942年10月31日生まれ）は日本を代表する有機化学者であり、特に有機ケイ素化学の分野において大きな業績をあげています。彼は京都大学の名誉教授であり、公益財団法人豊田理化学研究所の所長を務めています。彼の研究は、化学の進歩に貢献し続けており、多くの分野で応用されています。

来歴

玉尾は香川県三豊郡の一ノ谷村（現在の観音寺市古川町）で生まれました。父は医者、母は薬剤師という家庭環境の中で育ちました。京都大学工学部の合成化学科を卒業後、大学院で博士課程を履修し、1971年に「オルガノジシランの合成,立体化学および反応機構」で工学博士の学位を取得しました。

玉尾は、元素の本質的特性に焦点を当てた物質創製を基盤とした元素科学の研究を行い、1972年には、熊田誠教授と共にアリールハライド・アリールトリフラートとGrignard試薬を用いたニッケル触媒によるクロスカップリング反応を開発しました。この技術は、触媒クロスカップリング反応の分野で非常に重要な役割を果たしました。

主な業績

彼の業績は多岐にわたり、炭素-ケイ素結合の過酸化水素によるアルコール合成法（玉尾酸化）や、官能性ケイ素アニオン化学の確立、ケイ素を含む化合物シロール類の合成法の開発などがあります。さらに、彼は有機エレクトロルミネッセンス素子への応用にも取り組み、これにより新機能性物質の科学を発展させました。

2007年には「有機典型元素化合物の高配位能を活用した化学反応性と物性の開拓」により日本学士院賞を受賞しています。また、2023年には文化勲章を香川県出身者として初めて受賞しました。

略歴

• - 1961年: 香川県立観音寺第一高等学校を卒業
• - 1965年: 京都大学工学部合成化学科を卒業
• - 1970年: 京都大学大学院工学研究科合成化学専攻博士課程を単位取得退学
• - 1970年: 京都大学工学部合成化学科の助手として勤務
• - 1971年: 工学博士の学位取得
• - 1986年: 京都大学工学部合成化学科の助教授
• - 1993年: 京都大学化学研究所の教授
• - 2000年: 京都大学化学研究所の所長
• - 2004年: 附属元素科学国際研究センターの長
• - 2005年: 理化学研究所フロンティア研究システムセンターの長
• - 2008年: 理化学研究所基幹研究所の所長
• - 2012年: 日本化学会の会長
• - 2016年: 豊田理化学研究所の所長

栄典と受賞歴

玉尾はその業績に対して数々の栄誉を受けています。2004年には紫綬褒章、2011年には文化功労者、2016年には瑞宝重光章を受賞しました。特に、文化勲章は彼の研究活動が社会的にも評価されていることを示しています。彼の受賞歴には、1977年の日本化学会進歩賞、1999年の日本化学会賞、2002年のアメリカ化学会F. S. Kipping賞などがあります。

玉尾皓平は、今もなお日本の科学界において重要な人物であり、彼の研究は未来の化学の進展に大きく寄与しています。彼の功績は、化学の新たな可能性を切り開くものであり、今後の研究にも多くの期待が寄せられています。

もう一度検索