玉木俊明

玉木俊明：近世ヨーロッパ経済史を専門とする経済史学者

玉木俊明氏は、1964年生まれの日本の経済史学者であり、京都産業大学経済学部教授として活躍しています。専門はヨーロッパ経済史、中でも近世ヨーロッパにおける商業や経済発展に関する研究です。同氏の研究は、単なる経済史にとどまらず、近世ヨーロッパ社会の形成や国際関係、世界システムといった広範なテーマにまで及んでいます。

大阪市に生まれた玉木氏は、1987年に同志社大学文学部文化学科を卒業後、同大学大学院博士課程に進学、1993年に中退しました。その後、1996年に京都産業大学経済学部講師に就任し、2000年に助教授、2007年には教授に昇進しました。2009年には、博士論文である『北方ヨーロッパの商業と経済 1550-1815年』で大阪大学より文学博士号を取得しています。

多彩な研究テーマと多くの著作

玉木氏の研究テーマは多岐に渡り、近世ヨーロッパの経済構造、海洋帝国の興隆、情報伝達技術の発展、移民の経済史など、多角的な視点から歴史を解き明かしています。特に近世ヨーロッパの商業ネットワークや国家形成、世界システムへの関与といったテーマに強い関心を寄せており、これらに関する多くの著作を発表しています。

その著作には、専門的な学術書から一般向け書籍まで幅広く含まれており、『北方ヨーロッパの商業と経済 1550-1815年』、『近代ヨーロッパの誕生 オランダからイギリスへ』、『近代ヨーロッパの形成 商人と国家の世界システム』など、近世ヨーロッパの経済史に関する専門的な研究書も多数執筆しています。

一方、一般読者にも分かりやすい解説書も多く執筆しており、『歴史の見方 西洋史のリバイバル』、『先生も知らない世界史』、『先生も知らない経済の世界史』、『物流は世界史をどう変えたのか』、『人に話したくなる世界史』など、世界史や経済史をテーマにした入門書も多数出版されています。これらの著作は、複雑な歴史的事実を平易な言葉で解説し、世界史への理解を深める上で非常に役立ちます。また、『逆転の世界史 覇権争奪の5000年』や『ユーラシア大陸興亡史　ヨーロッパと中国の四〇〇〇年』といった、より広い時間軸と地理的範囲を扱う壮大なスケールの著作も発表しています。さらに近年では、『金融化の世界史　大衆消費社会からGAFAの時代へ』や『迫害された移民の経済史　ヨーロッパ覇権、影の主役』といった現代社会にも通じるテーマの書籍も出版しており、その研究分野の広さ、深さ、そして社会への関与の高さを示しています。

翻訳活動と共編著にも貢献

玉木氏は、研究活動だけでなく、翻訳活動にも積極的に携わっています。パトリック・オブライエンの『帝国主義と工業化』、デレック・H・オルドクロフトの『20世紀のヨーロッパ経済』など、欧米の著名な経済史研究者の著作を日本語に翻訳し、日本の読者にとって貴重な情報源を提供しています。また、『北海・バルト海の商業世界』や『商業と異文化の接触』といった共編著も出版しており、他の研究者との共同研究にも積極的に参加しています。

まとめ

玉木俊明氏は、近世ヨーロッパ経済史に関する専門的な研究から、一般読者向けの分かりやすい解説書、そして翻訳活動まで、幅広い活動を展開する第一線の経済史学者です。その多岐にわたる著作は、世界史や経済史への理解を深めたい読者にとって、貴重な情報源となることは間違いありません。今後の研究活動にも期待が高まります。

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