経済史

経済史

経済史とは、経済学の一分野であり、特に歴史的観点から経済現象に対する考察を行う学問です。この分野は経済史学と呼ばれることもあります。経済現象の分析を通じて、時代ごとの変化や発展の過程を明らかにしようとする取り組みがされています。日本の大学においては、主に経済学科や歴史学科でこのテーマが研究されています。

経済史の起源

経済史の起源は、ドイツの歴史学派にあるとされ、特にフリードリッヒ・リストがその先駆者として評価されています。彼は経済現象の歴史的背景や社会的文脈を考慮することの重要性を提唱しました。

計量経済史

計量経済史は、計量経済学の手法を用いて経済史を研究する分野です。ダグラス・ノースをはじめとする研究者がこの領域を発展させてきました。計量経済史の中で特に重要なのは、数量分析と計量モデルを区別することにあります。最近では、「cliometrics」という用語が使われ、数的な分析とモデルの使用が議論されています。

比較歴史制度分析

経済史における比較制度分析は、近年注目される視点です。ただし、史実の取り扱いについての批判もあります。この学問の領域では、アブナー・グライフによる比較歴史制度分析というアプローチが提唱され、歴史的な分析の深みを増そうとする動きがあります。

日本における経済史研究

日本の経済史研究は1930年代の講座派と労農派による日本資本主義論争を嚆矢としています。この論争は、日本の資本主義がどの歴史的段階にいるのかについて、マルクス経済学的な視点から議論されました。さらに、日本経済史研究の進展により、財政、労働、企業の動向など多岐にわたるテーマが扱われています。

西洋経済史

西洋経済史においては、東京大学の大塚久雄が影響力を持ち、彼の立場は比較経済史学に基づいています。資本主義の移行や産業革命期が重視される中、最近では世界システム論や社会史など、新しい視点からの研究が行われています。これにより研究の幅が広がり、20世紀以降の問題も取り上げられています。

アジア経済史

アジア経済史は、東アジア、東南アジア、南アジア、西アジアにそれぞれ分類されます。東アジアは中国やその周辺、東南アジアはASEAN諸国、南アジアはインドを中心とした地域が取り扱われます。これらの地域は多くが旧植民地であり、開発途上国としての側面が強調されるため、国際開発論との関連性も大きくなっています。アジア経済史研究者は、経済発展や開発の視点を持ちながら他の関連分野との協力が求められています。

グローバル経済史

最近では、グローバルな視点から経済史を考察する動きも顕著です。フェルナン・ブローデルの研究やイマニュエル・ウォーラーステインの世界資本主義論がその例です。日本では、様々な研究者がこれらの理論を紹介し、グローバル経済史の研究が進んでいます。

学術雑誌

経済史に関連する学術雑誌には、以下のものがあります。

• - Journal of Economic History
• - Economic History Review
• - Explorations in Economic History

これらの学術誌は、経済史に関する最新の研究成果を発表する場として重要な役割を担っています。

参考文献

この分野の研究を深めるための参考文献も多数存在します。たとえば、青木昌彦の『比較制度分析に向けて』、ダグラス・ノースの『経済史の構造と変化』などがあり、これらは経済史のさまざまな側面を理解する手助けとなります。

経済史は現在進行形で進化しており、さまざまな側面からのアプローチがその理解を深める要因となっています。

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