玉真之介

玉真之介（1953年- ）は、日本の著名な農業経済学者であり、現在は帝京大学経済学部教授として教鞭を執っています。彼は、農業経済学の分野で長年にわたり研究と教育に携わり、日本の農業問題、食糧政策、農村社会に関する深い知見を持っています。

玉真之介は岐阜県高山市に生まれ、1977年に北海道大学農学部農業経済学科を卒業しました。その後、同大学院に進学し、1985年に農学研究科博士課程を修了。「両大戦間期における商業的農業の実存形態 系統農会による農産物販売斡旋事業の研究」と題した博士論文で農学博士号を取得しました。


学術研究者としてのキャリアは、1986年に岡山大学教養部助教授として始まりました。その後、1990年に弘前大学農学部に助教授として移り、1997年には同農学生命学部助教授に就任。1998年からは岩手大学農学研究科教授を務め、2005年には理事・副学長に就任しました。2011年10月には徳島大学ソシオ・アーツ・アンド・サイエンス研究部教授に転じ、2019年に退職。2020年より帝京大学経済学部教授として現在に至ります。また、2017年には日本農業経済学会副会長を務めるなど、学会活動にも積極的に貢献しています。


玉真之介の研究領域は多岐にわたりますが、特に近現代日本の米穀市場と食糧政策、グローバリゼーションと日本農業の基層構造、戦間期の農業団体、満洲農業移民などのテーマに焦点を当てています。これらの研究を通じて、日本の農業が抱える構造的な問題や、食糧安全保障のあり方について深く考察しています。


著書も多数あり、『農家と農地の経済学 産業化ビジョンを超えて』、『日本小農論の系譜 経済原論の適用を拒否した五人の先達』、『主産地形成と農業団体 戦間期日本農業と系統農会』、『グローバリゼーションと日本農業の基層構造』、『近現代日本の米穀市場と食糧政策 食糧管理制度の歴史的性格』、『総力戦体制下の満洲農業移民』などを執筆しています。これらの著作は、日本の農業経済学研究における重要な貢献として高く評価されています。


また、共編著や翻訳も手がけており、国際的な視点も取り入れた研究活動を展開しています。Japanese Agriculture from a Historical Perspectiveでは、ビクター・L.カーペンターと共著で日本の農業を歴史的な視点から分析し、『食料・農業市場研究の到達点と展望』では、美土路知之、泉谷眞実と共同で食料・農業市場研究の最前線を紹介しています。翻訳では、ルース・ガッソンとアンドリュー・エリングトンの『ファーム・ファミリー・ビジネス 家族農業の過去・現在・未来』をビクター・L.カーペンター、神田健策と共同で監訳し、家族農業の重要性を提唱しています。

玉真之介は、研究者、教育者として、日本の農業経済学の発展に大きく貢献しています。彼の研究成果は、今後の日本の農業政策や食糧政策のあり方を考える上で重要な示唆を与えてくれるでしょう。

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