玉蔵大橋

玉蔵大橋（ぎょくぞうおおはし）

岐阜県中津川市内を流れる雄大な木曽川に架かる玉蔵大橋は、地域の交通を支える重要な構造物です。現在の指定路線は岐阜県道6号中津川田立線となっており、日々の交通の要として機能しています。この橋は、しばしば「玉蔵橋（ぎょくぞうばし）」という通称で呼ばれることが多く、地元住民をはじめ多くの人々にこの名で認識されています。

現在の玉蔵大橋は、1966年（昭和41年）1月19日に供用が開始されました。その規模は、橋長265.0メートル、全体の幅員は8.0メートルを測ります。この幅員のうち、車道部分は5.4メートル、歩道部分は2.5メートルが確保されており、車両交通だけでなく歩行者の安全な通行にも配慮した設計となっています。岐阜県中津川市の「中津川」地区と「瀬戸」地区を結ぶ区間に位置しています。

この橋の歴史を振り返ると、かつての重要な役割が見えてきます。中津川市街地から恵那方面へ向かう主要経路であった城山大橋（当時は有料道路として供用され、後に無料開放されて国道257号に指定変更）が整備される以前は、玉蔵大橋こそが国道257号の重要な一部を担っていました。地域の交通網の変遷と共に、その役割も変化してきた橋と言えます。

玉蔵大橋の歴史は、現在の橋が架けられるさらに遡ります。最初の玉蔵橋は、1905年（明治38年）頃、現在の橋が架かる位置からおよそ1キロメートルほど上流の地点に建設されました。この初代の橋は、全長82メートル、幅4.5メートルの木造吊り橋という構造でした。その後、時代を経て材質が鉄へと変更され、架け替えが行われています。特筆すべきは、この鉄製の玉蔵橋は、1連の吊り橋でありながら途中に橋脚が存在する珍しい構造を持っていたことです。これは、初代の木造吊り橋以来、複数回の架け替えが行われる中で、かつての橋脚部分が引き続き利用され続けた歴史を物語っています。

そして、現在私たちが目にしている玉蔵大橋は、1966年（昭和41年）に新たに完成したものです。これに伴い、それまで利用されてきた古い鉄製の玉蔵橋は役目を終え、撤去されました。しかし、かつての玉蔵橋がその歴史を刻んだ橋脚の一部は、今もなお当時の姿をとどめて木曽川の中に現存しており、橋の変遷を静かに伝えています。

周辺の景観にも触れてみましょう。玉蔵大橋と、その下流側に位置する城山大橋との間には、かつて運行されていた北恵那鉄道線の鉄橋が、建設当時の姿をほぼそのままに残しています。興味深いことに、この北恵那鉄道の橋梁もまた、かつては「玉蔵橋」という名称で呼ばれていたという説が伝えられています。さらに、この北恵那鉄道の鉄橋よりも下流側には、現在、建設が進められている中央新幹線の第二木曽川橋梁が架けられる予定です。これらの歴史を持つ橋と、未来へ繋がる橋は、いずれも玉蔵大橋の上からその姿を確認することができます。木曽川の美しい流れと共に、時代の異なる橋梁が織りなす景観は、この玉蔵大橋からの眺めをより豊かなものにしています。

玉蔵大橋は、単なる交通路としての機能だけでなく、地域の歴史や変遷を見守ってきた証人として、そして周辺に点在する他の橋梁と共に、木曽川沿いの景観を形成する重要な要素として、今日もその存在感を示しています。

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