玉野井芳郎

玉野井芳郎（たまのい よしろう）

玉野井芳郎は、1918年1月23日、山口県柳井市に生まれた日本の著名な経済学者である。彼は経済学博士として1960年に東北大学で学位を取得し、その後東京大学名誉教授となった。彼の業績は経済学の多様な分野に及び、特に経済理論や経済学史に関する研究で知られている。また、彼はエコロジーや反近代主義にも関心を持ち、カール・ポランニーやイヴァン・イリイチといった思想家を日本に紹介する上での重要な役割を果たした。

人物背景

玉野井の学問的な成長には、彼の兄弟、玉野井逸朗が関与している。彼は発生学の専門家であり、千葉大学の名誉教授であった。玉野井芳郎は、経済学者の大河内一男の弟子として知られており、その後の学問の道に多大な影響を受けた。彼の業績の一環として、1984年にエントロピー学会を設立し、同学会は多くの著名な研究者たちと共に活動を展開する場となった。この学会の設立は、玉野井が後に大きな影響を与えることになるエントロピーに関連する研究を一層進める契機となった。1985年には二回目のシンポジウムが開催されるが、不幸にも彼はその年の10月に亡くなった。

学歴と経歴

彼の学歴は、旧制柳井中学から始まり、山口高等商業学校を経て、1941年には東北帝国大学法文学部を卒業した。その後、同大学で助手、講師を経て助教授に就任。また、1951年に東京大学教養学部の助教授になり、1960年には教授に昇進した。彼はその後、海外での研究を活発に行い、西ドイツのボーフム大学やケルン大学での研究を経て、1978年に東京大学を定年退官し、沖縄国際大学の教授に就任した。その後も明治学院大学で教鞭を執った。

主な著作

玉野井芳郎の著作は多岐にわたる。彼の主要な著作としては、『リカアドからマルクスへ 古典経済学批判史』や『マルクス経済学と近代経済学』などが挙げられる。また、エコロジーや地域主権に関する著書も豊富で、特に『地域分権の思想』や『エコノミーとエコロジー 広義の経済学への道』などは広く評価されている。彼の著作集は全4巻に及び、研究者や学生にとって貴重な資料となっている。

翻訳業

また、彼は大きな影響を持つ翻訳者でもあり、ポランニーやイリイチの著作を日本語に翻訳し、広めることで、日本の経済学界に彼らの思想を浸透させた。その成果は、今でも多くの研究者や学生に利用され続けている。

玉野井芳郎は、経済学の発展に大いに貢献し、彼の多岐にわたる業績は今後も研究の基盤として引用され続けるであろう。彼は、1985年10月18日に67歳で逝去し、その遺産は今もなお多くの人々に影響を与えている。

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