玉錦三右エ門

玉錦 三右エ門の生涯と功績

玉錦 三右エ門（たまにしき さんえもん）は、高知県高知市に生まれた大相撲力士で、第32代横綱に輝いた人物です。本名は西ノ内 彌寿喜（にしのうち やすき）で、1903年12月15日に誕生しました。子供の頃から負けん気が強く、特に喧嘩と相撲に情熱を注いでいました。尋常小学校を卒業後、地元の土佐玉本家に奉公していた際、太刀山峯右エ門の団体と出会い、力士になることを決心します。父親の反対を押し切り、粘り強い説得によって二所ノ関部屋に入門しました。

見習いから初土俵へ

玉錦の体格は当時、165cm・67kgであり、力士としては小柄でした。そのため、入門から3年間は見習いとして過ごし、1919年の初土俵まで、師匠や先輩力士たちの厳しい稽古を受けました。四股名の「玉錦」は、師匠の妻の名前と知人の力士に由来しており、彼に対する期待を込められていました。

彼は、「1本差しの突進」という独特の取り口を武器に、小部屋ながらも厳しい稽古を重ね、1925年には新十両に昇進。体格の不利を補いながら、その努力からわずか1年で幕内に進出し、実力を示しました。

大関・横綱への道

1928年5月には関脇に昇進し、九州場所で初優勝を飾ります。その後も安定した成績を収めるものの、長年にわたり大関昇進には至りませんでした。これは当時の力士事情や性格、番付の冷遇などが影響した結果でした。しかし、1930年にようやく大関へ昇進することができ、続く場所では連続優勝を果たすものの、ずっと横綱昇進の機会を待ち続けることになります。

横綱の称号と再興

玉錦は昭和初期の相撲界を支える存在となり、1932年に横綱免許を授与されました。このとき、二所ノ関部屋は再興され、玉錦はその指導者となりました。力士としての技能向上だけでなく、後進の育成にも力を注ぎ、部屋の発展に貢献しました。弟子たちの中でも、特に優秀な力士を育てることで知られ、強い二所ノ関部屋を作り上げていきました。

突然の死

しかし、1938年12月4日、巡業中に体調を崩し、虫垂炎が原因で亡くなるという悲劇的な結末を迎えました。彼は34歳という若さで、現役横綱として死去した二例目の力士となり、その死は相撲界に大きな衝撃を与えました。

人物とエピソード

玉錦は、激しい性格とともに、弟子や後輩への優しさを持つ人物でした。彼の人柄は相撲界で多くの人々に愛され、また敬われていました。特に自らの失敗を反省する姿勢や、人を大切にする姿勢は、多くの弟子たちに影響を与えました。また、相撲に対する真摯な姿勢や、師匠としてのふるまいは、後の世代にしっかりと受け継がれていきました。

玉錦 三右エ門の生涯は、彼の相撲に対する情熱、卓越した技量、そして人間味あふれる姿勢によって、多くの人々に語り継がれています。彼の名は相撲界の歴史に深く刻まれており、今もなお尊敬されています。

もう一度検索