王元姫

王元姫：西晋の礎を築いた賢后

王元姫（おう げんき）は、建安22年（217年）に生まれ、泰始4年（268年）に没した、三国時代から西晋にかけての時代を生きた女性です。彼女は、司馬昭の妻であり、晋の武帝となる司馬炎の母として知られています。諡は明であり、司馬昭の諡である「文」を冠して文明皇后とも呼ばれました。

幼少期から見られた聡明さと孝行心

幼い頃から、王元姫は非凡な才能を発揮しました。8歳にして詩論を暗記し、その内容を正確に言い当てることができました。また、徳行にも優れ、親孝行な子供として知られていました。9歳の時には、母が病に倒れると、着替えをする暇も惜しんで看病にあたりました。彼女の孝行ぶりを見た祖父は、彼女が男として生まれなかったことを惜しんだと伝えられています。12歳の時には、祖父の葬儀において、自然な哀悼の意を表し、父から深く敬われたといいます。

司馬昭との結婚

15歳で司馬昭に嫁いだ王元姫は、舅姑（しゅうと・しゅうとめ）に対して婦道の限りを尽くし、目下の者にも謙虚に接しました。彼女の賢明さは、司馬昭の政治にも大きな影響を与えました。ある時、鍾会が司馬昭に仕官してきた際、王元姫は「鍾会は、自分の利益のためには義を忘れ、事を起こすことを好む人物です。彼を重用すれば、必ず国が乱れるでしょう」と司馬昭に忠告しました。その言葉通り、後に鍾会は益州で反乱を起こし、王元姫の先見の明が証明されることとなりました。

皇太后として

265年、司馬昭が死去すると、跡を継いだ司馬炎が魏から禅譲を受け、皇帝として即位しました。これにより、王元姫は皇太后となりました。皇太后となっても、彼女は日々の業務を怠らず、贅沢を慎み、常に道理にかなった言動を心がけました。その姿は、周囲の尊敬を集め、西晋の安定に大きく貢献しました。泰始4年3月21日（268年4月20日）、王元姫は生涯を閉じ、崇陽陵に夫である司馬昭と共に埋葬されました。

王元姫は、聡明さと徳の高さ、そして政治に対する深い洞察力を持った女性でした。彼女の存在は、西晋の成立と安定に大きく貢献し、後世に語り継がれる賢后としての地位を確立しました。

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