王宇 (明)

王宇（おう う）

王宇は、明代中期の官僚であり、字を仲宏、号を厚斎と称しました。永楽15年（1417年）5月4日に開封府祥符県で生まれ、天順7年（1463年）7月16日に47歳で亡くなりました。

生涯

王宇は、幼少の頃からその才能を発揮し、日記に万言を書きつけるほどの才人でした。その才能は、兵部右侍郎であった于謙にも認められ、将来を嘱望されていました。

正統4年（1439年）、王宇は進士に及第し、官僚としてのキャリアをスタートさせます。最初の役職は南京戸部主事であり、その後、任期を満了すると戸部郎中に進みました。吏部での才能が高く評価された王宇は、特例として撫州府知府に任用されました。撫州府知府として、王宇は簡素で穏健な統治を行い、勢族を抑え、不正を防止しました。その卓越した統治手腕は、英宗に報告されるほどであり、詔により褒賞を賜りました。

天順元年（1457年）11月、王宇は山東右布政使に抜擢され、飢餓に苦しむ民の救済に尽力しました。翌天順2年（1458年）5月には右副都御史に転じ、宣府巡撫を務めました。この時、宦官の厳順や都督の張林らが、その権力を背景に不当に軍需物資を横領していた事実を突き止め、王宇はこれを弾劾しました。さらに、大同巡撫を兼任するよう命じられると、石亨とその甥である石彪の不正を上疏し、法による処罰を求めましたが、この上奏は受け入れられませんでした。しかし、この行動は、周囲の官僚から畏敬の念を集めることになりました。督餉郎中の楊益が軍用の物資を準備できなかった際には、王宇は楊益を弾劾し、その結果、戸部尚書の沈固らをも弾劾することになりました。これらの行動から、王宇が不正を許さず、職務に忠実であったことが伺えます。

天順4年（1460年）、王宇は母の死去に伴い、辞職して喪に服しました。しかし、その才能を惜しんだ朝廷は、喪が明けないうちに、天順5年（1461年）11月、王宇を大理寺卿として起用しました。王宇は固辞しましたが、最終的にその任を承諾しました。大理寺では、過去の裁判で誤った判決を多く見直し、正義の実現に貢献しました。

王宇は、天順7年（1463年）7月16日に47歳で亡くなりました。その生涯は、不正を許さず、民を思いやる精神に満ちており、後世に大きな影響を与えました。

人物・逸話

王宇は、幼少の頃から非常に才能があり、日記に万言を綴るほどの文才を持っていました。また、于謙に見出されるなど、早くからその才能は周囲に認められていました。官僚となってからも、不正を許さず、正義を貫く姿勢は、多くの人々に尊敬されました。特に、石亨らの不正を弾劾した行動は、王宇の不屈の精神を示すものとして知られています。

脚注

『明史』巻159 列伝第47
通議大夫大理寺卿王公墓表（李賢『古穣集』巻16所収）

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