王宮 (マドリード)

マドリード王宮は、スペイン・マドリードにある、壮大な宮殿です。一般にはオリエンテ宮殿とも呼ばれており、スペイン王室の公式な王宮としての役割を担っています。しかし、現在の国王や王族は郊外のサルスエラ宮殿を住居としており、マドリード王宮は主に国家の重要な行事に使用されています。宮殿はスペイン政府の所有で、国家遺産局が管理を行っています。

王宮はマドリードの中心部西側に位置し、バイレン通り沿いにあります。東側にはマンサナーレス川が流れ、最寄りの駅はマドリード地下鉄のオペラ駅です。一般公開されており、内部の豪華な装飾や歴史的なコレクションを見学できます。

歴史

この地には、10世紀頃にはマイリットという要塞が築かれていました。マイリットは後ウマイヤ朝のアミール、ムハンマド1世によって辺境防衛のために建設され、その後トレド王国に継承されました。1085年にマドリードがカスティーリャ王アルフォンソ6世によって陥落すると、その大邸宅はカスティーリャ王の居城として使用されるようになりました。1329年には、カスティーリャ王アルフォンソ11世が初めてマドリードでコルテス（議会）を招集しました。

16世紀には、フェリペ2世が宮廷をマドリードに移し、この地に古いアルカサルが建てられました。しかし、1734年12月24日にアルカサルは全焼してしまいます。フェリペ5世は、その跡地に新しい宮殿を建設することを決定し、1738年から1755年にかけて大規模な建設工事が行われました。建設には、フィリッポ・ユヴァーラやジョヴァンニ・バッティスタ・サンチェッティなどの建築家が携わり、ベルニーニ風の壮麗な宮殿が完成しました。1764年には、カルロス3世がこの宮殿を使用し始めました。

現在

マドリード王宮は、その内部がディエゴ・ベラスケス、ジョヴァンニ・バッティスタ・ティエポロ、アントン・ラファエル・メングス、ガスパリーニ、フアン・デ・フランデス、カラヴァッジオ、フランシスコ・デ・ゴヤなど、数々の巨匠の芸術作品で贅沢に飾られています。王家の貴重なコレクションも数多く所蔵されており、13世紀以降の武具を展示する王立武具博物館、世界で唯一の完全なストラディヴァリウスの弦楽四重奏、タペストリー、磁器、家具などが展示されています。

宮殿の西側には、カンポ・デル・モーロという庭園があります。これは、1109年にムーア人指導者アリ・ベン・ユースフがキリスト教徒からマドリードとアルカサルを奪還しようとした歴史にちなんだ名称です。宮殿の東側はオリエンテ広場と王立劇場に面しており、南側にはアルマス広場、アルムデナ大聖堂があります。北側には、建築家サバティーニにちなんで名付けられたサバティーニ庭園が広がっています。

また、2004年5月22日には、アストゥリアス公フェリペ（現在の国王フェリペ6世）とレティシア妃の結婚披露宴が、宮殿の中央庭園で盛大に執り行われました。

マドリード王宮は、スペインの歴史と文化を象徴する重要な場所であり、その豪華な内装と歴史的なコレクションは、多くの人々を魅了し続けています。

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