王徳寺

王徳寺（おうとくじ）は、長野県松本市寿北に位置する真言宗智山派の寺院です。山号を加擁山と称し、本尊として大日如来と不動明王を安置しています。この寺は、室町時代に尊栄和上によって開創されたと伝えられており、長い歴史を有しています。特に、小笠原家の菩提寺として知られ、地域の人々から深く信仰されています。

王徳寺の境内には、数々の文化財が保存されており、その中でも特筆すべきは、松本市指定重要文化財である木造不動明王坐像です。この坐像は、東国六体不動尊の一つに数えられ、明応8年（1499年）に制作されたとされています。その歴史的、美術的価値は非常に高く、「信州中山開運不動尊」とも呼ばれ、多くの参拝者が訪れます。像は、その精巧な造形と威厳ある姿で見る者を魅了します。

また、境内には石工孫右衛門によって作られた六地蔵も安置されています。これらの地蔵は、それぞれの表情が異なり、訪れる人々に安らぎを与えます。王徳寺は、筑摩三十三番札所の10番札所としても知られており、巡礼者も多く訪れます。

寺へのアクセスは、公共交通機関を利用する場合、JR篠ノ井線松本駅からアルピコ交通バス「寿台循環線」に乗り、倉田病院前で下車し、そこから徒歩約30分です。また、同じく松本駅から「並柳団地線」に乗り、並柳小学校前で下車し、徒歩約30分でもアクセス可能です。自動車を利用する場合は、JR篠ノ井線南松本駅から約10分で到着します。

王徳寺は、松本市の歴史と文化を語る上で欠かせない存在であり、その美しい自然と静寂に包まれた境内は、訪れる人々に心の安らぎと癒しを与えてくれます。松本市の名所・旧跡の一つとして、また、松本市の歴史を深く知る上で重要な場所です。春には桜が美しく咲き誇り、四季折々の風景を楽しむことができます。

王徳寺は、歴史と文化が深く息づく場所であり、地域住民にとって心の拠り所となっています。訪れる人々は、この寺の持つ静謐な雰囲気の中で、過去の歴史に触れ、心静かに過ごすことができるでしょう。松本を訪れる際には、ぜひ足を運んでいただきたい場所の一つです。

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