王応麟

王応麟の生涯と業績

王応麟（おう おうりん、1223年8月17日 - 1296年7月13日）は、中国南宋時代の優れた儒学者および政治家です。彼は字を伯厚、号を深寧居士とし、浙江省の寧波市に位置する慶元府鄞県からの出身です。王応麟には同日に生まれた弟、王応鳳がいます。

幼少期からの学問の探究

王応麟は幼い頃から学問に対する情熱を見せ、わずか9歳で六経に精通しました。彼の学びはこの時期から始まり、独自の学問への探究心は大きな特徴となりました。淳祐元年（1241年）に進士試験に合格し、その後西安県の主簿に任命されました。当初、彼の若さから周囲の人々には軽視されましたが、王応麟は法律を厳格に執行し、次第に周囲からの信頼を得るようになりました。

官職と学問の両立

彼はその後、浙西提挙常平茶塩主管帳司に昇進しましたが、父の王撝が亡くなった際には、喪の期間中に官職を退くこととなります。喪が明けた後、王応麟は揚州の教授として再び職務に戻ります。しかし、当時の官吏たちが昇進を重視し、学問を軽視する風潮に不満を抱き、宝祐4年（1256年）には自ら博学宏詞科の試験を受け、合格します。弟の王応鳳も同じく試験に合格し、彼らは兄弟揃って皇帝から称賛を受けました。

権力争いと官職の移動

その後、王応麟は起居舎人や権中書舎人に昇進するも、その時期に朝廷で権勢を誇っていた賈似道に嫌われ、徽州知州に左遷されます。しかし後に中央に召還され、秘書監権中書舎人として国史の編纂や実録の検討に関与しました。侍講や起居郎、吏部侍郎といった職を歴任しましたが、再度賈似道からの圧力を受け、母の喪を理由に再び官職を辞退します。賈似道の失脚後には復職し、給事中左丞相にまで昇進するものの、自身の意見が通らないことから再び辞任し、その後の20年間は純粋に学問に専念することとなります。

著作とその影響

王応麟の著作は700巻にも及び、彼の知識と経験は後世の歴史学に大きな影響を与えています。主な著書には、以下のような作品があります。

• - 『深寧集』
• - 『玉堂類稿』
• - 『掖垣類藁』
• - 『詩攷』
• - 『詩地理攷』
• - 『漢芸文志攷證』
• - 『通鑑地理攷』
• - 『通鑑地理通釈』
• - 『通鑑答問』
• - 『蒙訓』
• - 『筆海』
• - 『漢制攷』
• - 『小学紺珠』

これらの著作は、武士階級や政治家に限らず、広く学問する者たちへと受け継がれ、彼の考えや視点は今なお学問の一部として生き続けています。王応麟は、学問と実務の両面で著しい成果を残した偉大な人物として記憶されています。

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