御璽

御璽（ぎょじ）について

定義と種類

御璽とは、皇帝や天皇が公式に使用する印章を指す言葉で、特に日本の「天皇御璽」が有名です。その他にも、大韓帝国の「皇帝御璽」や満洲帝国の「満洲國皇帝之寶」が存在しますが、ここでは日本の皇室における御璽の役割と歴史について詳しく考察します。

御璽の歴史

御璽の起源は飛鳥時代まで遡ります。701年に制定された大宝律令では、天皇の印章として「内印」が規定され、大きさは約8.9cm角であったとされています。平安時代には中務省内匠寮がその鋳造を担当しており、材料は銅や青銅が使用されました。多くの印章が改鋳された中で、1068年には焼損したものの改鋳が行われた記録も残っています。

江戸時代には銅印が使用され、その後明治維新を迎えました。1869年には新しい官位相当制が定められ、従来の銅印が「内印」として再利用されることになりましたが、1871年には新たに石印が作られました。しかしその出来栄えに不評を受け、1873年に金印に改鋳され、1874年に現在の御璽が完成しました。以降、この御璽は改刻されることなく使用されています。

現代の運用

現在、御璽は宮内庁によって管理されています。普段は紫と白の袱紗に包まれた専用の革製ケースに保管され、必要に応じて押印されます。御璽は天皇の国事行為に関わる公文書や法律文書などに押印される重要な役割を担っています。押印の際は特製の朱肉が使用され、位置や傾きに注意を払って押すのが伝統となっています。

また、日本国憲法の下では、皇位継承儀式において剣璽と共に御璽が承継されることも義務付けられています。このように御璽は、伝統や法制に基づいた重要な文化的象徴としての地位を保っています。

法的規制と刑罰

日本の刑法第19章には印章偽造の罪についての規定があり、御璽や国璽を偽造した場合は重い処罰が科せられます。同様に、文書偽造においても御璽を不正に使用することは厳しく罰せられます。当時の大日本帝国憲法下においてもこれらの行為は不敬罪に問われることがありました。

満洲帝国の御璽

満洲帝国でも御璽が存在しました。縦横9cm、高さ約8cmの白玉製の印章で、「満洲國皇帝之寶」と刻まれていました。御璽の管理は尚書府により行われ、詔書や公文書に押印されましたが、その運用は時代と共に変遷していきました。

結論

御璽は日本の皇室の重要な象徴であり、その歴史や運用は日本の政治文化において特別な意味を持っています。現代においても、天皇の国事行為に深く関与し、国のアイデンティティの一部として位置づけられています。

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