王磐 (元)

王磐について

概要

王磐（おう はん）は、生没年は不詳ながら、モンゴル帝国の大元ウルスにおいて重要な役割を果たした漢人官僚です。彼は永年県に出生し、父の王禧は金朝末期に私財を投じて軍を起こし、地元の人々から救うために尽力した人物でした。王磐はその父の影響を受け、学問に励みましたが、若い頃は貧しい暮らしをしていました。

学問と官途の始まり

王磐は26歳の時、正大4年（1227年）の経義進士に合格し、その後帰徳府の録事判官に任命されましたが、任地には赴きませんでした。数年後、モンゴル軍の進攻により河南地域が戦火に包まれる中、南宋領の襄陽に避難し、荊湖制置司に目をかけられ、議事官の役職を授かります。

講学と影響力

襄陽での滞在中に、王磐は多くの弟子を持ち、その教えを受けた者たちは後に名士となります。1260年、モンケ帝の急死後、クビライに重用され、副使として抜擢されました。その大家である李璮の反乱計画を察知すると、王磐はまず逃げ出し、クビライに急報し、信任を受けることになります。彼の誠実さが評価され、多くの重要な任務に就くことになりました。

公正な裁き

王磐は公正を重んじ、真定での蝗害の際には、過剰な役夫を動員する政府の方針に異を唱え、自らその解決策を示しました。彼の行動は民衆から深く感謝され、名声が高まりました。また、悪行を働く者を公正に裁く姿勢も、多くの人々から信頼を寄せられる要因となっています。

政治的な立場と意見

王磐は不公平な議題に強く反対し、官職の削減が冤罪の原因になることを懸念しました。南宋の平定後、日本への出兵に対しても反対意見を述べ、国を思う真摯な姿勢を見せました。彼の信念は、時にはクビライを激怒させることもありましたが、彼自身の行動は常に国家のためであると主張しました。

晩年と評価

年老いてもなお、王磐は多くの政治的、学問的影響を与え続けました。92歳で亡くなった際には、洺国公に追封され、文忠と諡号されるなど、彼の存在が長く記憶されることとなりました。彼の性格は剛直で、公正な意見を常に心がける姿勢が評価されています。王磐の推薦した多くの人物は、後に名臣として知られるようになり、彼の教えがこの後の時代にどれほど大きな影響を与えたかを示しています。王磐の人生は、一人の官僚がどのように国家に貢献し、そして記憶されるかを考えさせるものとなっています。

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