帰徳府

帰徳府（きとくふ）

帰徳府は、中国にかつて存在した行政区分の一つで、現在の河南省商丘市を中心とする地域に位置していました。その歴史は、金代から中華民国初期までと長く、時代とともにその姿を変えてきました。

金代

1130年（天会8年）、金王朝によって応天府が帰徳府と改称され、その歴史が始まりました。当時、帰徳府は南京路に属し、睢陽（すいよう）、寧陵（ねいりょう）、下邑（かゆう）、虞城（ぐじょう）、穀熟（こくじゅく）、楚丘（そきゅう）の6県を管轄していました。

元代

元代になると、帰徳府は河南江北等処行中書省の管轄下に入りました。この時代には、管轄する地域が拡大し、直属の睢陽、寧陵、下邑、永城（えいじょう）の4県に加え、徐州に属する蕭県（しょうけん）、宿州に属する霊璧県（れいへきけん）、邳州（ひしゅう）に属する下邳（かひ）、宿遷（しゅくせん）、睢寧（すいねい）の3県、そして亳州（はくしゅう）に属する譙（しょう）、城父（じょうほ）、鹿邑（ろくゆう）の3県を含む、4州12県を管轄する広大な地域を治めるようになりました。

明代

1368年（洪武元年）、明王朝が成立すると、帰徳府は帰徳州に降格され、開封府の管轄下に入りました。しかし、1545年（嘉靖24年）には再び帰徳府に昇格し、河南省に属するようになりました。この時、直属の商丘（しょうきゅう）、寧陵、夏邑（かゆう）、鹿邑、永城、虞城の6県と、睢州に属する考城（こうじょう）、柘城（しゃじょう）の2県、合わせて1州8県を管轄しました。

清代

清代においても、帰徳府は河南省に属し、明代と同様に商丘、寧陵、夏邑、鹿邑、永城、虞城の6県と、睢州に属する考城、柘城の2県、合わせて1州8県を管轄する体制が維持されました。

中華民国時代

1913年、中華民国が成立すると、帰徳府は廃止され、その長い歴史に幕を閉じました。

帰徳府は、金代から中華民国初期にかけて、行政区分の変遷を経験しながらも、その地域の歴史と文化を支え続けた重要な府でした。その存在は、中国の地方行政制度の変遷を理解する上で、貴重な事例となっています。

帰徳府の歴史は、中国の行政区分の変化だけでなく、その地域の社会や文化の変遷をも反映しており、中国史を研究する上で重要な視点を提供しています。

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