王立天文学会

王立天文学会：天文学と地球物理学の進歩を牽引する英国の学術団体

王立天文学会（Royal Astronomical Society、RAS）は、1820年にロンドン天文学会として設立された、天文学研究を支援する歴史ある学術団体です。1831年にはイギリス王ウィリアム4世から勅許を受け、現在の名称となりました。当初は男性のみの会員でしたが、1915年に女性の入会も認められるようになり、現在では世界各国から3000名以上の会員が参加しています。そのうち約3分の1はイギリス国外に在住しており、国際的な広がりを見せています。

学会の活動

RASは、天文学、太陽系科学、地球物理学、そして関連する科学分野の研究振興に大きく貢献しています。主な活動は以下の通りです。

学術雑誌の発行: RASは、天文学分野では『Monthly Notices of the Royal Astronomical Society (MNRAS)』、地球科学分野ではドイツ地球科学会と共同で『Geophysical Journal International (GeoJI)』など、複数の査読付き学術雑誌を発行しています。これらの雑誌は、世界中の研究者にとって貴重な情報源となっています。他に、過去には『Memoirs of the Royal Astronomical Society (MmRAS)』、『Geophysical Journal (GeoJ)』、『Quarterly Journal of the Royal Astronomical Society (QJRAS)』、『Astronomy & Geophysics (A&G)』なども発行していました。
国際会議の開催: RASは、天文学や地球物理学に関する議論を行うための会合を毎月開催し、最新の研究成果や議論が共有されています。また、毎年春にはプロの天文学者向けの総会(National Astronomy Meeting)を開催するなど、活発な活動を展開しています。
会員制度: 18歳以上であれば誰でも会員になることができ、職業は問いません。設立当初は職業天文学者が少なかったため、正式な入会資格はありませんでしたが、現在では会員の約75%が職業天文学者または地球物理学者です。また、天文学や地球物理学に興味を持つ一般の人々を対象とした「フレンド」制度も設けられており、講演会やイベントへの参加が可能です。
図書館: RASは、天文学と地球物理学に関する書籍や定期刊行物を豊富に所蔵する図書館を運営しています。その蔵書数は1万冊以上にも及び、特に天文学に関する稀覯書は、イギリス国内でも有数の規模を誇ります。この図書館は、学会員だけでなく、一般の研究者や歴史家にとっても貴重な資源となっています。
教育活動: RASは、生徒や教師を含む一般大衆向けに天文学の成果を普及する活動にも力を入れています。イギリス国内で行われる様々な試験にも諮問機関として携わっています。
関連団体との連携: RASは、関連する様々な学術団体と協力関係を築き、共同研究や情報交換などを通して、科学の発展に貢献しています。例えば、英国物理学会、王立化学会、ロンドン地理学会などとの連携が見られます。
* 研究助成: 天文学と地球物理学の研究を支援するため、研究資金の提供も行っています。

会長と受賞者

初代会長はウィリアム・ハーシェルでした。その後、多くの著名な天文学者が会長を務めてきました。任期は2年です。また、RASでは、ゴールドメダルをはじめとする数々の賞が授与され、アインシュタインやホーキングなども受賞しています。

まとめ

王立天文学会は、天文学と地球物理学の発展に多大な貢献をしてきた歴史ある学術団体です。今後も、研究活動、教育活動、国際交流を通して、科学の進歩と普及に貢献していくことが期待されます。

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