勅許

勅許についての詳細

勅許（ちょっきょ）または勅許状とは、君主がその大権に基づいて発行する公的な認可のことで、特定の法人や団体の設立、または特権を授与するために利用されます。国によってその法的位置付けは異なりますが、ここでは主に英米法系の国々における勅許の使われ方について詳述します。

歴史的背景

歴史的には、勅許は主に公法の下での許可の手段として機能していました。有名な例として、イギリスの1215年に発表された「マグナ・カルタ」があります。これが起点となり、14世紀以降には、個人や団体に対する法的な権利や法人格の付与がなされる私法としての役割を果たすようになりました。自治体や大学、さらには専門団体の設立にも利用されており、現代においてもその重要性は変わりありません。

イギリス王室から発行された勅許の数量は1,000以上に達し、その中で約750の組織が現在も存在しています。最も古い勅許の記録は、1231年にヘンリー3世によりケンブリッジ大学の設立を認可したものです。一方、ロンドンの織布工名誉組合やスコットランドのテインについての勅許は、さらに古いものであるとされています。最近では、2014年に人間工学協会に勅許が与えられた事例もあります。

組織の成立と勅許の役割

中世のヨーロッパでは、勅許は町や自治体、都市に特権や権利を授与する手段として広く活用されていました。勅許を基盤に地方自治体の組織化が進められたのは、14世紀から15世紀にかけてのことです。歴史上では、東インド会社やハドソン湾会社、スタンダードチャータード銀行等、さまざまな著名な会社も勅許から設立されました。特に、勅許会社と呼ばれる営利目的の企業群は、探検や貿易を目的とし、独占的な権利を持つ形で運営されていました。

14世紀から19世紀にかけて、勅許は企業の設立方法の中で唯一の手段であった時期もありましたが、1844年の登記法の成立により、登記による会社設立が可能になりました。この法改正の後、勅許は主に「王室の厚意に基づく証」としての位置づけに変わっています。

大学における勅許の意義

欧州では、宗教改革前から多くの大学が勅許を得て設立されました。カトリック百科事典によれば、この時期に存在した81の大学のうち、33校は教皇の許可のみによるものであり、その他の大学は皇帝または王の勅許も受けていました。勅許状による大学設立の初例は、ナポリ大学（1224年）であり、ポルトガルのコインブラ大学（1290年）が続く形で設立されました。

ブリテン諸島内及びアイルランドにおいても、勅許は大学設立の基盤として機能していました。エディンバラ大学やダブリン大学はそれぞれの行政権に基づき設立され、特にトリニティ・カレッジは1593年にエリザベス1世の下での勅許によって設立されたものです。

アメリカとその他の国

アメリカにおいては、独立戦争以前に勅許を受けた大学が存在しています。ウィリアム・アンド・メアリー大学やプリンストン大学などがその代表です。ただし、独立以降は、勅許の発行は行われていません。アメリカでは、以前の勅許が州や立法機関によって組織の設立認可としての効力を持つこととなりました。

カナダ、オーストラリア、アイルランド、南アフリカなど、各国でも告示的な法令に基づく勅許が存在し、これらは地域や国によって異なる形式を取っています。

現在の勅許

現在も、勅許は慈善団体や職能団体の法人化に用いられ、特定の学校に学位授与権を与える手段として機能しています。特にイギリスでは、顕著な職能団体や学会、または慈善団体がこの勅許を受けるためには、既存の安定性と公益性を証明する必要があります。

結論として、勅許は歴史的にさまざまな国と組織の発展と成長に寄与してきた、公的な認可の重要な手段としての役割を果たしています。

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