王立救命艇協会

王立救命艇協会（RNLI）

概要

王立救命艇協会（Royal National Lifeboat Institution、略称：RNLI）は、イギリスおよびアイルランドの沿岸海域において人命救助を目的としたボランティア団体です。この組織は1824年に設立され、当初は「国立難破船救命協会」という名称で活動を始めましたが、1854年に現在の名称に改名しました。RNLIは完全に会員の会費や一般からの寄付によって運営されており、特にアイルランドでは政府が一部資金を提供していますが、直接の影響力は行使していません。RNLIの本部はダムセットのプールに位置し、近年ではエリザベス2世女王によって新しい訓練学校が設立されました。

創設の背景

RNLIの創設者であるウィリアム・ヒラリーは、1816年にマン島に住み始め、海上での遭難を目の当たりにするうちに、救命艇サービスの必要性を感じました。ヒラリーは当初海軍本部に計画を持ち込むものの反応は薄く、慈善家たちに協力を呼びかけた結果、団体は設立されました。彼の功績により、最初の救命艇がダグラスに配備されました。

RNLIの活動と使命

RNLIの任務は明確で、人命を救うことに特化しています。創設以来、RNLIの救命艇によって137,000人以上の命が救われています。現在、RNLIは沿岸用の5つのモデルと、4隻のホバークラフトを運用しており、全国の233か所の基地で332隻の救命艇を展開しています。ボランティアの乗員たちは、警報が鳴った際には基地で待機し、必要に応じて直ちに救助活動に出動します。特にハンバー地区にあるスパーン岬には24時間待機している基地があり、悪天候の際には島嶼部と本土の間での密接な連携が求められています。

教育と訓練

さらにRNLIは、イングランド南西部の海岸でライフガード組織を運営しており、400人以上の専門のライフガードを雇用しています。また、救命艇の運用者には各種の訓練が必要とされ、そのための設備がドーセットの本部で整えられています。

歴史的な救出作業

RNLIの歴史に残る最大の救出活動は1907年3月17日に発生しました。この日、SSスエビック号が厳しい気象条件下で座礁し、RNLIの救命艇は70人を含む乗客456人を16時間にわたり救出しました。この功績により、任務に参加した乗員にはRNLI銀勲章が授与されました。

救命艇の事故

RNLIの活動においては、献身的な救助活動の反面、多くの悲劇も存在します。数多くの事故により、歴史上では何人もの救命艇の乗員が命を落としています。1871年の「ハービンガー号」転覆事故や、1959年の「モナ号」事故での8人の死亡など、数々の記録があります。

栄誉と施設

RNLIの出動員はその勇敢さに対して頻繁に表彰されます。ドーセットのプールの本部には、救命艇の修理やメンテナンス用の設備があり、様々な訓練が行われています。特に、救命活動に必要な技術を磨くためのスペシャリスト訓練施設が存在し、厳しい実践に備えることができます。

RNLIは、その活動を通じて、イギリスとアイルランドの海を安全に保つために重要な役割を果たしています。彼らの努力と献身には、感謝の念が尽きません。

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