王銘

王銘（おう めい）

王銘は、生年不詳ながら1393年に没した、元末から明初の時代に活躍した軍人です。字を子敬といい、本貫は和州にあります。

生涯

王銘は、当初、兪通海の麾下にいました。1356年には、兪通海に従い、元の将軍である蛮子海牙を采石の戦いで破るという功績を挙げます。この戦いを含め、王銘は常に決死隊を率いて敵陣に突撃する戦法で、多くの戦で目覚ましい働きをしました。

張士誠との太湖での戦いでは、王銘は流れ矢が右腕に当たるという負傷を負いました。しかし、彼はその場で佩刀を用いて鏃を掘り出し、戦線に復帰するという驚異的な精神力を示しました。その後も、通州の黄橋や鵝項などの重要な拠点を攻略する活躍をしています。

1360年の龍湾の戦いでは、陳友諒軍を破るという大きな戦果を挙げました。王銘は、この戦いで采石まで追撃し、単身で敵陣に突入、三度にわたる突撃で多数の敵兵を殺傷するという、鬼神のごとき働きを見せました。この功績により、朱元璋から文綺銀碗を賜り、宿衛を任ぜられることになります。その後も、朱元璋に従い、江州の攻略、康郎山や涇江口での戦い、英山諸寨の攻略などに参加。管軍百戸に抜擢されました。さらに、常遇春に従って湖州の昇山で戦うなど、数々の戦を経験し、その都度、武功を挙げました。

旧館の戦いや烏鎮の戦いなど、前後数十戦に参加した王銘は、その功績が認められ、松江の守備を命じられました。その後、太倉に移り、倭寇1000人以上を討ち取るという活躍もしています。

1371年には、南京で槍術に長けた百戸を集めて試合が行われた際、王銘に対抗できる者はいませんでした。このことからも、彼の武術の腕前が非常に優れていたことが伺えます。官を歴任し、長淮衛指揮僉事となった王銘は、温州に移駐し守備を担当。温州では、朱元璋の許可を得て、府城の修繕と堀の浚渫を行い、以前の倍の規模に拡張しました。王銘がしばらく郷里の和州に帰ることを告げると、温州の人々は、その別れを惜しみ、道に溢れて見送ったといいます。その後、王銘は右軍都督僉事にまで昇進しています。

しかし、1393年、王銘は藍玉の獄に連座して処刑されるという、悲劇的な結末を迎えました。その勇猛さと数々の功績を考えると、その最期はあまりにも哀れという他ありません。

脚注

『明史』巻134 列伝第22に王銘に関する記述があります。

参考文献

『明史』巻134 列伝第22

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