理研科学映画

理研科学映画株式会社について

理研科学映画株式会社は、かつて日本で存在した映画製作会社であり、特に教育映画や記録映画を数多く制作してきました。1938年に設立され、その後の映画界に多大な影響を与えました。本項では、次第に変遷を遂げていった理研科学映画の歴史について詳しく述べます。

設立の背景と戦前の活動（1938年 - 1946年）

1938年4月26日、理化学研究所の傘下として理研科学映画が設立されました。当初の目的は、理研トーキー方式と呼ばれる新しい録音技術を使った映画の制作でした。この技術は、大河内正敏研究室の渡辺俊平によって開発されたX線を用いたもので、映画制作に革命をもたらしました。同年、下村兼史が入社し、彼が手掛けた『水鳥の生活 −第一輯−』は、戦前の作品の一つとして歴史に名を刻みました。

1940年には、北九州周辺の干潟をテーマにした『或日の干潟』が文部大臣賞を受賞し、これが理研科学映画の名声を高めました。

しかし、戦時中には陸海軍からの依頼を受けた訓練映画や国防映画が増え、その活動は一時期制約を受けることになります。1945年には、敗戦を受けて全重役が退陣し、理研科学映画は新たな展開の必要に迫られました。

戦後の展開（1946年 - 1952年）

1946年、理研映画として再出発を果たします。この期間、多くの時事解説映画を製作し、GHQの占領政策に従った内容となりました。特に時事通信社と提携して生まれた『文化ニュース』は、映画界において重要な役割を果たしました。

また、この頃の作品には、社会問題を扱ったものが増え、特に『あなたの議會』や『帰還兵』は多くの観客の関心を集めました。1950年代には、劇映画にも手を広げ、様々な教育的側面を持った作品を制作しました。

新理研映画の時代（1952年 - 1960年代末）

1952年、日米映画社を合併し、新理研映画として新たなスタートを切ります。この時期には、優れた紀録映画、特に教育映画が数多く制作され、1962年には『若戸大橋』が教育映画祭最高賞や日本産業映画コンクール奨励賞を受賞しました。

この時代は、政府や公団からの依頼によるPR映画も多く制作され、特に社会や産業に対する意識の高まりが見られました。さらに、松本俊夫監督の手掛けた実験的なPR映画も話題を呼び、映画界にも新風を吹き込みました。

終焉とその後

1960年代末になると、映画制作のスタイルは大きく変化し、1970年には「大毎ニュース」が大映との配給網統合により制作が打ち切られることになりました。その後、1971年以降、すべてが「理研映画」名義となり、以後の活動も多岐にわたりました。1980年には、『黎明のとき -浮上式鉄道の開発第2部-』が製作され、土木学会映画コンクールで優秀賞を受賞しました。

理研科学映画株式会社は、その後身にあたる理研映画株式会社、新理研映画株式会社を経て、今日の日本映画界の発展に寄与した企業として歴史に名を残しています。彼らの制作した作品は、教育や社会啓発という面でも重要な役割を果たしており、後の映画製作に大きな影響を残しています。

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