琉球大学内ゲバ誤認殺人事件

琉球大学内ゲバ誤認殺人事件：1974年、沖縄を震撼させた悲劇

1974年2月8日午後、沖縄県那覇市の琉球大学教養学部プレハブ校舎で、凄惨な事件が発生しました。革命的共産主義者同盟全国委員会（中核派）のメンバーと見られる7、8人の男たちが、黒いストッキングで顔を覆い、教室に乱入。学生を鉄パイプなどで襲撃し、一人を死亡させるという事件でした。犠牲者は法文学部英文科の1年生、左翼活動とは無関係の一般学生でした。

事件の背景：激化する左翼組織間の闘争

この事件は、当時激化していた左翼組織間の内ゲバ（内部抗争）という暗い影を背負っていました。中核派と日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派（革マル派）は、激しい抗争を繰り返しており、東京教育大学生リンチ殺人事件をはじめとする数々の暴力事件を引き起こしていました。大学内はまさに戦場と化し、学生たちは恐怖のどん底に突き落とされていたのです。

事件の経緯：自治会長への誤認と無差別な暴力

犯人グループは教室に乱入すると、「自治会長はいるか」と叫びながら学生たちに襲いかかりました。犠牲者は自治会役員ではありませんでしたが、犯人たちは彼を自治会長と誤認。抵抗できない一般学生を無残にも殺害しました。犯行の残忍さは、鉄パイプによる激しい暴行の様子からうかがえます。

事件後、革マル派の機関紙『解放』と中核派の機関紙『前進』はそれぞれ事件について報道。両派の主張は対立しており、その内容からも当時の険悪な状況が見て取れます。両機関紙とも、事件の真相を曖昧にしたまま、自派の正当性を主張する姿勢を見せていました。

長い逃亡と逮捕：8年8ヶ月越しの真実

事件後、犯人たちは逃亡を続けました。事件から約9年後、1983年7月14日、警視庁公安部は沖縄県警察から指名手配されていた元香川大学生の男を逮捕。犯行から8年8ヶ月もの歳月が流れていました。この逮捕劇は、長年の逃亡劇に終止符を打ち、事件の真相解明へと繋がる大きな一歩となりました。

結論：社会に与えた衝撃と教訓

琉球大学内ゲバ誤認殺人事件は、大学キャンパスという平和なはずの空間で起こった、痛ましい事件です。左翼組織の内ゲバという社会問題を浮き彫りにし、多くの学生や市民に衝撃を与えました。一般学生が、組織抗争の犠牲となるという、理不尽で残酷な現実が、社会に大きな問いかけを残したのです。この事件は、暴力の愚かさ、そして誤認による悲劇の恐ろしさを改めて私たちに突きつけ、二度とこのような事件が起こらないよう、社会全体で考える必要があることを示しています。また、徹底した捜査と迅速な逮捕の重要性を示す事件と言えます。

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