琉球王族

琉球王族：琉球王国の特権階級

琉球王国における王族は、国王の血縁関係に基づく特別な地位と権力を有していました。その構成員は、王子や按司の称号を持つ者とその親族からなり、一般の士族とは明確に区別されていました。

近世琉球において、王子や按司の称号は、位階や称号の一つとして認識されており、必ずしも国王の血縁者だけに限らず、例外的に王族以外の人物にも授与されるケースがありました。例えば、国頭御殿のように、王族ではない者が按司の称号を得ていた例や、菊隠宗意のように、王族以外に王子位が与えられた稀な例も存在します。

しかしながら、一般的な認識としては、王子や按司は国王の親族であり、親方以下の士族階層とは明確に区別されていました。琉球の士族は努力次第で親方の地位に昇進できる可能性がありましたが、按司以上の地位に昇進することは、原則として不可能でした。

『沖縄法制史』（1903年）には、「王子は王弟・王叔であり、按司は王弟・王の子である。従って、旧藩時代、按司は士族の班には属さず、国人として大名と呼ばれた」と記載されており、王子や按司が国王の親族であるという認識が、当時広く共有されていたことがわかります。

『琉球国由来記』（1713年）では、国王の親族を「按司部（あんじべ、あぢべ）」と呼び、「これ当国の公族なり」と説明しています。「公族」は中国において皇帝の傍系の親族を指す言葉であり、琉球王族の地位の高さがうかがえます。また、日常会話では、王族を「御殿（うどぅん）」と呼んでいました。

王子の称号は一代限りであり、王子の嫡子は按司となり、それ以外の子供は士族に降格しました。しかし、按司は功績を積むことで王子号を賜る可能性もありました。廃藩置県時の御殿の数は28家でした。

廃藩置県後、王子や按司の一部は華族となり、残りは有禄士族として明治政府から俸禄を支給されるなど、特権階級としての優遇が明治末期の秩禄処分まで継続されました。これは、琉球王族が長年にわたり、琉球王国において特別な地位と権力を享受してきたことを示しています。

琉球王族の特権的な地位は、琉球王国の政治・社会構造を理解する上で重要な要素であり、その歴史的背景と社会的地位を分析することで、琉球王国の歴史と文化をより深く理解することができるでしょう。彼らの歴史を紐解くことは、琉球王国の複雑な歴史と文化を理解するための鍵となります。 今後の研究においては、個々の王族の系譜や活動、彼らが果たした役割といった詳細な情報にも焦点を当てていく必要があります。また、王族と一般士族との関係性、王族間の権力闘争、そして廃藩置県後の王族の変遷などについても、更なる研究が必要です。

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