琉球船舶旗

琉球船舶旗とは

琉球船舶旗（りゅうきゅうせんぱくき）は、アメリカ統治下の沖縄において、琉球船籍の船舶が掲揚を義務付けられた旗のことです。国際法では、公海を航行する船舶は国[[旗]]を掲げることが原則ですが、当時の沖縄は国際法上の地位が不安定であったため、アメリカ合衆国の[[国[[旗]]]]である星条旗も、日本の国[[旗]]である日章旗も掲げることができませんでした。

そこで、琉球列島米国民政府は、国際信号[[旗]]のD旗の端を三角に切り落としたものを「琉球船舶旗」として定め、船舶への掲揚を義務付けました。この措置は、占領下のドイツの船舶が「C」旗を、占領下の日本の船舶が「E」旗を掲揚していたのと同様の対応でした。D旗は、NATOフォネティックコードで「デルタ」と発音されることから、琉球船舶旗は「デルタ旗」とも呼ばれるようになりました。

琉球船舶旗の歴史

第二次世界大戦後、アメリカ合衆国の占領下に入った沖縄では、1946年（昭和21年）の戦時刑法により、日本国[[旗]]の掲揚が禁止されました。その後、1952年（昭和27年）にサンフランシスコ講和条約が発効し、米国民政府は「刑法並びに訴訟手続法典」を改正しました。これにより、政治的な意味合いを伴わない限り、個人の家屋や集会での日本国[[旗]]の掲揚が認められるようになりました。

さらに、1962年（昭和37年）1月1日からは、法定の祝祭日と正月三が日に限り、公共建築物での日本国[[旗]]の掲揚も認められました。しかし、琉球船籍の船舶は依然としてアメリカ国[[旗]]も日本国[[旗]]も掲げることができない状況が続きました。国際信号[[旗]]D旗を利用したこの取り扱いは国際的には認められておらず、1962年（昭和37年）4月には、インドネシアのモロタイ島海域で操業中のマグロ漁船が、国籍不明を理由にインドネシア海軍から銃撃を受けるという第一球陽丸事件が発生しました。この事件では、乗員23名のうち1名が死亡、3名が重軽傷を負うという痛ましい結果となりました。

その後、1967年（昭和42年）7月1日には、琉球船舶規則が改正され、琉球船舶は上部に「琉球 RYUKYUS」と表示した二等辺三角形の三角旗を付けた日本国[[旗]]を特別旗として掲げることになりました。そして、1969年（昭和44年）12月18日に米国民政府布令が改正され、1970年（昭和45年）1月1日に施行されたことで、琉球内での日本国[[旗]]掲揚を禁じた条項は撤廃されました。

琉球船舶旗の意義

琉球船舶旗は、戦後の沖縄が置かれた複雑な状況を象徴する旗でした。国際法上の地位が曖昧な状況下で、アメリカの統治下でありながらも、アメリカ国[[旗]]を掲げることができず、また、日本の国[[旗]]も制限された中で、琉球独自の旗が求められた結果として誕生しました。この旗は、沖縄の歴史と、その中で生きた人々の複雑な思いを今に伝える貴重な歴史的遺産と言えるでしょう。

関連項目

国[[旗]]
国際信号[[旗]]
船籍
商船旗
琉球列島米国民政府
琉球政府
沖縄旗
旗の一覧

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