琴姫七変化

『琴姫七変化』の魅力

『琴姫七変化』（ことひめしちへんげ）は、1960年から1962年にかけて日本のテレビで放送された時代劇ドラマです。この作品は、読売テレビの制作により、日本テレビ系列で全105話が届けられました。大塚製薬の一社提供で、毎週土曜日の19:00から19:30の枠で放送されました。

制作の背景

このドラマの根底にあるのは、松山容子が演じた「千也姫」というキャラクターの人気です。1960年に放送された子ども向け時代劇『天馬天平』で、松山が凛々しい男装をし、剣技で新撰組と闘う姿が好評を博しました。この評判に注目した大塚製薬が、松山を主演に据え、「若武者姿の姫君」という新たなキャラクターを設計し、本作を実現させました。

このような制作の経緯から、松山は人気が急上昇し、後に大塚食品の「ボンカレー」の初代パッケージにも起用されました。

タイトルについて

作品のタイトルには注意が必要です。作中では「七変化」とルビが振られた際、「しちへんげ」と読むのではなく「ひちへんげ」とされており、テーマソングでもこの読みが使われています。一方でオープニングナレーションでは「しちへんげ」と発音されています。

ストーリー

物語は、徳川11代将軍徳川家斉の娘であり、柳生新陰流の使い手でもある琴姫が登場します。彼女は伝統的な価値観には従わず、結婚相手候補たちを御前試合で打ち負かし、江戸城を後にして旅に出ます。琴姫は飾り気のない素朴な着物から、時には小姓や若衆姿、また他の役柄を演じることで旅を続け、出会った悪党たちを「許しませぬぞ！」という決め台詞で振り払います。

物語は、前期と後期の二部構成となっており、前期では彼女が旅先で起きる事件を解決していく一方、後期では江戸に戻り、庶民を困らせる悪と対峙するストーリーに展開します。

キャストと制作スタッフ

主なキャストには、琴姫役の松山容子をはじめ、秋葉浩介（柳生大三郎）、松本錦四郎（大塚四郎）、川保まき（お俊）などがおり、多彩な登場人物が物語を彩ります。また、制作には松本常保が関与し、脚本には尾形十三雄や西沢治などの名作家が参加しています。

音楽の担当には山田志郎が名を連ね、主題歌「そよ風道中」は花村菊江が歌っています。

反響と影響

放送中は、毎回多くのファンがロケ現場に集まり、特に松山の故郷である四国では驚異的な観客数を記録しました。松山市では69.4パーセントという高視聴率を獲得しました。この成功は、他の地域でも相次ぎ、テレビドラマ界に多大な影響を与えました。

再放送とソフト化

『琴姫七変化』は、モノクロ作品であるため、地上波での再放送の機会は減少しましたが、2006年にはとちぎテレビで再放送されました。また、2014年にはHDリマスター版DVD-BOXとして一部エピソードがリリースされ、多くのファンに再び楽しまれています。

このように、『琴姫七変化』は単なる時代劇ではなく、時代を超えて愛され続ける作品として、多くの人々に記憶されているのです。

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