環状グリーンベルト構想

環状グリーンベルト構想とは

札幌市が1982年（昭和57年）に制定した『札幌市緑の基本計画』において示された環状緑地構想に基づき、策定された都市計画が「環状グリーンベルト構想」です。この構想は、札幌市を緑豊かな都市にするため、市街地の周囲に環状の緑地帯を形成することを目指しています。

具体的には、山地・丘陵地系の緑地（14,000ha）と平地系の緑地（2,000ha）を結びつけ、総面積16,000ha、周囲100kmにも及ぶ緑のベルトを形成する計画です。この緑地帯は、自然の森林や山、人工的に作られた丘陵地などで構成され、21世紀に向けて札幌の街を緑で包み込むことを目的としていました。

構想の背景と経緯

1972年に制定された都市公園等整備緊急措置法と都市公園整備五箇年計画の発足を受け、札幌市では1973年に緑化政策大綱を制定しました。この大綱では、1990年までに公園面積を市民一人当たり20平方メートル以上にするという目標が掲げられました。さらに、1977年には札幌市緑化推進条例が制定され、1980年策定の新長期総合計画の第二次五箇年計画において、環状グリーンベルト構想が具体化され、整備が開始されました。

1983年には、白石区山本地区で起工式が行われ、緑の基本計画も策定されました。この計画では、市街地周辺の民有林の保護など、緑地の保全と増進を図るとともに、その活用を推進することが目標とされました。また、用地は不燃ゴミや建設残土で交互に埋め立てることで造成されました。

構想に基づき、手稲山緑地、手稲緑地、北部緑地、米里緑地、野幌緑地、西岡緑地、石山緑地、藻岩山緑地などが整備されました。また、モエレ沼[[公園]]、前田森林公園、宮丘公園、厚別山本公園などの新たな公園も建設されました。

現在の状況

環状グリーンベルト構想は、現在も札幌市の公式な計画として残っています。2002年度には、平地部ではモエレ沼[[公園]]や平岡公園、茨戸川緑地などの整備、山地丘陵部では、都市近郊林の保全が計画的に推進されました。札幌市緑の基本計画は2020年に第4次計画が策定されており、継続的な緑化政策が行われていることが伺えます。

しかし、かつて構想の発祥の地である厚別区山本に存在した「環状夢のグリーンベルト発祥記念の森」の石碑や案内板は、老朽化や退色により撤去されています。また、厚別区のホームページに掲載されていた構想に関する記述も、2019年以降は削除されており、以前ほど構想が推進されていない現状もうかがえます。

環状グリーンベルト構想は、札幌市の緑化政策において重要な役割を果たしただけでなく、都市と自然との共生を考える上で、重要な示唆を与えてくれる構想と言えるでしょう。

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