環5モノレール

環5モノレールの歴史と概要

環5モノレール、正式には「東京環状モノレール」は、1966年から1972年にかけて東京都区部での建設が検討されていたモノレールの計画です。この構想では、約35キロメートルの環状コースを周回することが目的とされました。

環5モノレールの発案

1966年頃、社団法人日本モノレール協会が「東京環状モノレール」としてこの路線を提案し、1969年以降は東京都の首都整備局が「環5モノレール」の名称で詳細な調査を開始しました。この計画は、当時の他の交通機関、特に東京都の地下鉄やトロリーバスの一部路線をモノレールで置き換えることを狙いとしていました。

代替する路線

具体的には、以下の3つの交通機関の代替として検討されていました。
1. 都営地下鉄12号線（後の都営地下鉄大江戸線）
2. 都営トロリーバスの池袋 - 新宿 - 渋谷間
3. 都電の三ノ輪 - 王子 - 早稲田間（現在の都電荒川線）

しかし、1972年の都市交通審議会において、モノレールは第3項目にあたる都電の代替のみを担当することになり、約半分の路線長の「環5北モノレール」に縮小されてしまいました。この変更は、1974年に都電の三ノ輪 - 王子 - 早稲田間が存続することが決まったことで、環5北モノレールの計画も事実上廃案となったのです。

路線概要

環5モノレールの計画は、全長35.8キロメートル、37の駅を設けるものでした。技術的には、日本モノレール協会が提案した跨座式と懸垂式の2つの方式があり、最終的には跨座式が選ばれました。全区間が複線で運行される計画であり、車庫が2か所設けられる予定でした。

路線計画の詳細

日本モノレール協会は、荒川車庫と大久保車庫を車庫として利用する案を出しましたが、大久保車庫はすでに売却されていたため、別途22万6千平方メートルの人工地盤を運河上に設ける計画が策定されました。1970年には、モノレールに関する調査研究会が形式的な中間報告を行い、36の駅が含まれる路線案が提示されました。

歴史的な経過

このモノレール計画の歴史は長く、1965年に最初の提案がなされた後、東京都交通局が財政再建を模索する中で何度も議論されました。1972年の都市交通審議会の答申が出されることにより、モノレールの位置づけはますます難しくなり、最終的に都電の存続が決定される1974年までの間に環5モノレールの構想はほぼ終焉を迎えました。

その他の関連計画

環5モノレールの他にも、東京都内では様々なモノレール計画が並行して検討されていました。これには、新宿 - 飯田橋を結ぶ中央線や、赤羽 - 王子から六本木までを結ぶ南北線などが含まれます。これらの計画の多くは、後に地下鉄として実現することとなったものも少なくありません。

まとめ

環5モノレールは、一時は期待が寄せられたプロジェクトでしたが、さまざまな事情により実現には至りませんでした。しかし、東京都の交通網におけるモノレールの構想は、その時代の都市交通に対する新たな視点を提供しており、将来的な可能性を示唆する重要な試みであったことは間違いありません。

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