瓜生繁子

瓜生 繁子（うりう しげこ）

瓜生繁子は1861年4月29日、江戸幕府の外国方に勤務していた益田鷹乃助の四女として東京で生まれました。彼女は7歳の時に、幕府の軍医であった永井玄栄の養女となりました。繁子は、日本で初めてアメリカ留学を果たし、西洋音楽を学んだ女性の先駆けと言えます。大きな影響を受けたアメリカでの経験は、彼女の教育者としてのキャリアにも大きな影響を与えました。

留学と音楽教育

1871年、繁子は「第1回海外女子留学生」の一人としてアメリカへ渡り、コネチカット州のアボット家に寄宿します。アボット家の未婚の娘エレンは、繁子の母親代わりとなり、彼女に多くの教育を施しました。繁子はアボット・スクールで一般教養に加え、声楽を学びました。同時期、彼女はカトリックにて洗礼を受け、クリスチャンになります。

1876年には、彼女の後の夫、瓜生外吉と出会い、恋愛関係に発展します。繁子は1878年、17歳でヴァッサー大学音楽科に入学し、ピアノを専攻しました。彼女は学業にも優秀で、音楽科の同級生の中で高い成績を修めました。1881年にヴァッサー大学を卒業後、繁子は帰国し、日本初のピアノリサイタルを行ったとされていますが、詳細な記録は残っていません。

教育者としての活動

帰国後、繁子は東京音楽学校の教授に就任し、ピアノと音楽に関する教育を行います。結婚生活の中で、彼女は家族を育てながらも職業を持ち続けるという新しい生き方を体現しました。彼女は外吉と1882年に結婚し、4男3女をもうけましたが、外吉のサポートがあったことが、繁子がキャリアを続ける上で大切でした。1890年には女子高等師範学校に教職として迎えられ、音楽と英語を教えました。

繁子は東京音楽学校や女子高等師範学校での教育を通じて、数多くの学生に音楽と知識を授けました。彼女は生徒たちからも慕われ、音楽教育の発展に大きく貢献しました。多忙な日常の中でも、社交的な性格で、夫婦ともに人々と交流を楽しみ、家庭も賑やかな環境に育まれていました。

晩年と業績

繁子は1902年に女子高等師範学校の教授を辞任し、以後は家庭に専念します。しかし、彼女の功績と影響力は後世においても言及され続けています。1928年に67歳でこの世を去りましたが、彼女の教育者としての生涯は多くの人々に影響を与えました。特に、彼女はアメリカでの留学時代の仲間たちとの絆を大切にし、洋式教育の素晴らしさを日本に持ち帰った先駆者です。

交友関係

繁子は大山捨松や津田梅子など、多くの女性留学生と親友であり、彼女らと共に日本の女子教育の発展に努めました。夫婦ともにクリスチャンとして信仰深く、晩年には日米親善のために尽力し、夫婦でアメリカに渡って母校を訪問しました。彼女の影響は、今日の教育界にも色濃く残っています。

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