甘い夜

Sound Schedule 配信限定アルバム『甘い夜』

『甘い夜』（あまいよる）は、日本のスリーピースバンド、Sound Scheduleによってリリースされた配信限定アルバムです。彼らのキャリアにおいて初めて、CDなどの物理メディアを介さずにデジタル配信のみで発表された作品として位置づけられます。リリースは2006年2月8日、レーベルはDANGUY RECORDSから行われました。

リリース形態と背景

このアルバムは、当時急速に普及しつつあった音楽配信サービスに対応する形で企画されました。販売プラットフォームはApple社のiTunes Storeに限定されており、これは当時の音楽配信市場における一つのトレンドでもありました。Sound Scheduleにとって新たな試みである配信限定という形式は、リスナーへの楽曲提供の方法を多様化させる一歩となりました。

収録曲

『甘い夜』には、合計で9曲が収録されています。アルバムのタイトルにもなっている表題曲「甘い夜」と「黄金レシピ」の2曲はスタジオ録音された楽曲です。作詞・作曲はいずれもボーカルの大石昌良が手掛け、編曲はSound Schedule自身が担当しています。

一方で、残りの7曲はライブバージョンとして収録されています。これらの楽曲は、過去のライブパフォーマンスから選ばれた音源であり、当時のSound Scheduleのライブでの熱量やアレンジメントの一端を伝える貴重な記録となっています。「僕らの逃避行」、「ヘイ!ヘイ!」、「コモリウタ」、「スペシャルナンバー」、「ピーターパン・シンドローム」、「アンサー」、「今ココにあるもの」といった、彼らの代表曲や人気曲のライブテイクを楽しむことができます。スタジオ録音曲とライブ音源を組み合わせることで、アルバム全体として Sound Scheduleの多面的な魅力を打ち出す構成となっています。

表題曲「甘い夜」の広がりと後年の展開

表題曲の「甘い夜」は、この配信限定アルバムにとどまらず、その後も様々な形で展開されました。例えば、2006年にリリースされたライブDVD『SS LIVES』には、この楽曲が同梱シングルとして別途収録されています。また、彼らの代表曲を網羅したアルバム『THE COMPLETE SS』にも名を連ねており、発表当初から楽曲として高い評価を受けていたことがうかがえます。

特に注目すべきは、アルバムの配信リリースからおよそ13年の時を経た後にも、この楽曲が再び脚光を浴びたことです。バンド結成20周年を記念して2019年にリリースされたオールタイム・ベストアルバム『Sound Schedule ALL TIME BEST』に「甘い夜」がセレクトされ、改めて多くのリスナーに届けられることとなりました。このベストアルバムへの収録に合わせて、同楽曲のミュージックビデオが新たに制作され、YouTube上で公開されました。これにより、リアルタイムでの配信を経験していない新規のリスナー層も、楽曲とその映像表現に触れる機会を得ることとなり、「甘い夜」は時代を超えてSound Scheduleの重要なレパートリーであり続けています。

まとめ

『甘い夜』は、Sound Scheduleにとって初の配信限定という実験的な試みでありながら、その後のバンド活動や楽曲の展開においても重要な位置を占める作品です。特に表題曲は、様々な形態で再リリースや収録が重ねられ、長い年月の後にミュージックビデオまで公開されるなど、その普遍的な魅力が証明されています。ライブ音源も多数収録されており、当時のSound Scheduleのパフォーマンスを伝える資料としても価値のある一枚と言えるでしょう。配信プラットフォームは変遷しましたが、今なおデジタル形式でアクセス可能な、彼らのキャリアにおける特筆すべきアルバムです。

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