甘党

甘党（あまとう）について

甘党とは、主に甘いお菓子を好む人々を指す言葉であり、主に日本酒を好む「辛党」に対する対義語です。一般的には酒を飲まずに甘いものを好む人々を指しますが、甘いお菓子と酒を両方楽しむ人も存在します。また、中には甘いものも酒も苦手な人もいるため、広義には「甘いものが好きな人」という意味合いでも使われることがよくあります。

甘党の歴史

甘党という言葉が文献に登場するのは、1912年に出版された『新柔道武者修業 : 世界横行 第二』の中で「禁酒して甘党となる」との表現が確認されることから始まります。また、種田山頭火が書いた『其中日記 （八）』にも甘党に関する記述があり、1935年のこの日記からも、この言葉が過去のものであることがうかがえます。

子供と甘いもの

特に子供は酒を飲むことができないため、自然と甘党になることが一般的です。これは、人間が本能的に糖分を必要としているためで、幼児は特にエネルギーを多く消費するため、甘いものやカロリーの高い食べ物を強く求める傾向があります。また、幼少期は味覚が成熟していないため、他の味に対する好みも育ちにくく、甘党になる一因であると言われています。しかし、子供は野菜を嫌う傾向があり、これはまた別の課題となっています。

偏見と文化

日本では、成人男性が甘党であることに対して偏見が根強く見られてきました。特に男性が甘いものを好むことは、軟弱と見なされることもありました。しかし、最近では「スイーツ男子」といった言葉が広まり、徐々にこの取扱いが緩和されてきた印象があります。一方、ヨーロッパやインド、中近東諸国ではこのような偏見はあまり見られません。中近東では酒が宗教的な理由から禁じられているため、甘党の男性が多く、例えば中年の男性が砂糖を多く含んだミルクティーを楽しみながら甘い菓子を食べる光景が周囲で一般的に見受けられます。

政治における「甘党」

昭和20年代頃には、「甘党」という名称を名乗る政党が存在し、その候補者が政見放送内で自社製品を宣伝したことがありました。この出来事はその後、公職選挙法が改正され、政見放送の中で特定の製品名や宣伝を禁止するきっかけとなったと国会で笹川堯も述べています。このように、甘党という言葉は文化や歴史、そして政治と深く関わっています。

関連項目

また、甘党について考える際には、「下戸」という概念にも注目することが重要です。下戸は酒を好まない人を指し、甘党の人々がやや重なる部分もあるため、観察することでさらに深く理解できるでしょう。このように、甘党は単なる嗜好の表れだけでなく、社会的な文脈や文化的な背景とも結びついた言葉です。

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