甘食

甘食（あましょく）は、日本の伝統的な焼き菓子の一種です。イースト菌などの酵母を使用せず、発酵を省いた製法で作られる、どこか懐かしい味わいの菓子パンとして親しまれています。

特徴

甘食は、直径5cmから6cm程度の平たい円錐形をしており、独特の形状が特徴です。食感は、スポンジケーキとビスケットの中間のような、しっとりとしていながらもサクサクとした独特の食感を持っています。主な材料は、小麦粉、砂糖、卵、牛乳、バターなどで、素朴な甘さが特徴です。

歴史

甘食の起源は明治時代に遡ります。1894年（または1895年）に、東京市芝区田村町にあった清新堂というパン屋の創業者、猪狩時清が発売した「イカリ印のまき甘食」が元祖であるという説がありますが、詳細は明らかになっていません。南蛮菓子の影響を受けて誕生したとも言われています。

別の説では、ヒルサイドパントリー代官山の猪狩清氏が考案したとも伝えられています。1955年（昭和30年）頃には、菓子の甘食が「絞り甘食」、渦巻き型のロールパンの甘食が「甘食」と称され、それぞれ販売されていた時期があったようですが、具体的な経緯は不明です。

作り方

甘食は、家庭でも比較的簡単に作ることができます。以下に一般的な作り方を紹介します。

1. 室温に戻したバターに砂糖を加えて混ぜ合わせます。
2. 1に全卵を割り入れて混ぜます。
3. 2に牛乳と重曹を加えて混ぜます。
4. 3に小麦粉（薄力粉）とベーキングパウダーを合わせてふるったものを加えて混ぜます。
5. よく混ざった生地を、オーブンシートを敷いた天板に、直径5-6cmの円形になるように置きます。スプーンなどですくい取って落としても、絞り袋を使って絞り出しても構いません。
6. 円形の生地の中央に、ナイフなどで十字型の切り込みを入れます。
7. 220℃程度のオーブンで10-15分焼きます。

販売

甘食は、個人経営のパン屋のほか、大手製パンメーカーでも製造・販売されています。スーパーマーケットやコンビニエンスストアなどでも、3〜5個程度の単位で袋詰めされた製品が販売されており、手軽に購入することができます。

関連情報

甘食と類似した焼き菓子として、フィナンシェ、マフィン、カップケーキなどが挙げられます。これらの焼き菓子も、甘食と同様に、手軽に楽しめるおやつとして人気があります。

参考文献

佐藤澄夫『本所の伊藤パン 創業から四半世紀の軌跡』エディターセンター、1999年、19-20頁。 
初見健一『まだある。今でも買える“懐かしの昭和”カタログ〜食品編〜』大空出版、2005年7月、207頁。ISBN 978-4903175003。

甘食は、その素朴な味わいと手軽さから、長年にわたって多くの人々に愛されてきた日本の伝統的な焼き菓子です。ぜひ一度、お試しください。

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