甘麦大棗湯

甘麦大棗湯（かんばくだいそうとう）は、漢方医学において用いられる方剤の一つで、その出典は後漢時代に著された医学書『金匱要略』に遡ります。

概要

甘麦大棗湯は、心身の過度な興奮状態を鎮めることを目的としています。具体的には、神経の高ぶりや精神的な動揺を和らげ、心身のバランスを回復させる効果が期待されます。この方剤は、精神的な安定をもたらすことで、様々な症状の改善に貢献します。現代社会においては、ストレスや不眠など、心身の不調を抱える人が少なくありませんが、甘麦大棗湯は、そのような状態を穏やかに改善する可能性があります。

保険適用エキス剤の効能・効果

医療機関で処方される保険適用エキス剤としての甘麦大棗湯は、主に夜泣きやひきつけといった症状に対して効果を発揮します。特に、乳幼児の夜泣きは、保護者にとって大きな負担となりますが、甘麦大棗湯は、そのような状況を改善する手助けとなるでしょう。また、ひきつけに関しても、その症状を緩和する効果が期待されています。これらの効果は、甘麦大棗湯が持つ鎮静作用によるものと考えられています。

組成

甘麦大棗湯は、以下の3つの生薬から構成されています。

甘草（かんぞう）: 6.0
小麦（しょうばく）: 20.0
大棗（たいそう）: 6.0

これらの生薬は、それぞれが独自の薬効を持ち、相互に作用し合うことで、甘麦大棗湯全体の効果を発揮します。甘草は、炎症を抑え、痛みを和らげる効果があると言われています。また、小麦は、精神を安定させ、イライラや不安を鎮める効果が期待されています。大棗は、体を温め、胃腸の働きを助ける効果があると言われています。これらの生薬が組み合わさることで、心身のバランスを整え、様々な症状の改善に導くと考えられています。

脚注

甘麦大棗湯は、その効果から多くの医療機関で処方されており、特に小児科領域では、夜泣きやひきつけの治療に広く用いられています。また、近年では、ストレスや不安を抱える成人にも使用されることが増えてきています。

関連項目

甘麦大棗湯は、様々な製薬会社からエキス剤として販売されています。以下に代表的なものを挙げます。

ツムラ: 72番が甘麦大棗湯エキスとして販売されています。
* 小太郎漢方製薬: N-72が甘麦大棗湯エキスとして販売されています。

これらの製品は、医療機関で処方されるだけでなく、薬局やドラッグストアでも購入できる場合があります。甘麦大棗湯を使用する際には、専門家（医師や薬剤師）に相談し、適切な用法・用量を守ることが大切です。

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